冬櫻に祈りしこと

                                      

                                           フランス・レアールに咲いた冬櫻の一輪

 

 

 

 

 冬櫻に祈りしこと

 

  

さだまさしの歌は 聴衆に媚を売るようで決して好きな歌手ではなかった

ところが先年 さだが出版した小説『精霊流し』を読んで見方がすっかり変わった

更にさだが書いた小説『夏解』『サクラ』『水底の村』『秋櫻』『眉山』などを次々に読んだ

やはり凄いチカラがある男だと感心した 真実熱いハートを持つ男だった

色んな歌を歌い 彼はまさしく吟遊詩人だと言うべきだろう

次のような歌がある

 

 

                            償い
                                                     作詩・作曲 : さだまさし

                    月末になるとゆうちゃんは  薄い給料袋の封も切らずに
                    必ず横町の角にある郵便局へとび込んでゆくのだった
                    仲間はそんな彼をみて  みんな貯金が趣味のしみったれた奴だと
                    飲んだ勢いで嘲笑っても  ゆうちゃんはニコニコ笑うばかり

                    僕だけが知っているのだ  彼はここへ来る前にたった一度だけ
                    たった一度だけ哀しい誤ちを犯してしまったのだ
                    配達帰りの雨の夜  横断歩道の人影に
                    ブレーキが間にあわなかった彼は  その日とても疲れてた

                          人殺しあんたを許さないと  彼をののしった
                          被害者の奥さんの涙の足元で
                          彼はひたすら大声で泣き乍ら
                          ただ頭を床にこすりつけるだけだった
 
                    それから彼は  人が変わった  何もかも
                    忘れて働いて働いて
                    償いきれるはずもないが  せめてもと
                    毎月あの人に仕送りをしている

                    今日ゆうちゃんが  僕の部屋へ泣き乍ら走り込んで来た
                    しゃくりあげ乍ら  彼は一通の手紙を抱きしめていた
                    それは事件から数えて  ようやく七年目に初めて
                    あの奥さんから  初めて彼宛に届いた便り

                    「ありがとうあなたの優しい気持ちはとてもよくわかりました
                           だからどうぞ送金はやめて下さい  あなたの文字を見る度に
                           主人を思い出して辛いのです  あなたの気持ちはわかるけど
                           それよりどうかもう  あなたご自身の人生を  もとに戻してあげて欲しい」
 
                           手紙の中身はどうでもよかった  それよりも
                           償いきれるはずもないあの人から
                           返事が来たのが  ありがたくて  ありがたくて
                           ありがたくて  ありがたくて  ありがたくて
 
                           神様って思わず僕は叫んでいた
                           彼は許されたと思っていいのですか
                           来月も郵便局へ通うはずの
                           やさしい人を許してくれてありがとう
 
                           人間って哀しいね  だってみんなやさしい
                           それが傷つけあってかばいあって
                           何だかもらい泣きの涙がとまらなくて
                           とまらなくて  とまらなくて  とまらなくて

 

無論被害者は悲惨である 加害者だってどうしたらいいか分からない哀しみが横溢する 

不測の事故は本人ばかりではない 家族まで全部を巻き込んでしまうから悲惨極まりない

特にこの歌は哀しい歌と言うより リアルな一編の小説を読んでいるようでならない

さだの才能がこうした名曲を生むのか 或いは現実的に全部がそうなってくれと叫んでいるのか

何とも言えない重苦しさが無性に哀しい そして私にはただ祈ることしか出来ない無力さ真剣さ

フランスはレアールに咲いた冬櫻よ 僕等の思いの丈の祈りを受け止めてくれ!

 

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