テレビで放映 五山の送り火

五山の送り火

                                                         富田啓介 作画

 

 

テレビで放送 五山の送り火

 

 

実家から出て、青山墓地でささやかな送り火を早めに済ませ、

妻と自宅に帰るや、NHKで五山の送り火の放映を観た。

妻は京都生まれの京都育ちで、どこへも住んだことがなかったから、

東京でテレビを通じて観る五山の送り火を如何に観ていたか、

私は大文字も興味深かったが、妻の顔色を窺って見ていた。

未だホームシックになっていないようで、「帰りたい?」とひと言聞くと一笑にふされた。

でも懐かしい記憶がないわけではなかったようで、神妙にして観ていたと思う。

 

宗教学者山折哲雄先生の解説が至極適切で、

番組の途中で「私も今年亡くなった大切な人を送る」といっていたが、

まさかあの河合隼雄先生であるとは思わなかった。

番組後半で山折先生が明かしたその名前を聞かされた時はぐっと来た。

先月19日に亡くなったばかりで、亡き主人が多大な影響を受けていた。

単にユングの研究者という枠には入り切れない人で、

日本昔話のことや明恵上人のことなど、直接臨床心理学に関わりない著作も数多く、

駄洒落の大好きな愉快な人で、何でもウソツキ学会とか何かあったと思う。

特に先生を中心に文科省で纏められた道徳教育の教科書にすべく「心のノート」は、

以前の教育勅語ではないかという左派の批判を、亡き主人はどんなに憤慨していただろうか。

いつしか私は五山の送り火を観ながら、母と主人と河合先生を送る気になっていた。

 

京を囲む山の背はなだらかで低い。五山の送り火がある場所は結界だろうか、

そこから先の山奥が彼岸の霊界で、街の中は此岸で現世であるのだろう。

五山の送り火の起源は定かではないけれど、山折説では江戸初期を取られていた。

凡そ400年以前から、京の人たちは大切に守りつないで来たことになる。

戦時中灯火規制のため、火を焚かず白いシャツだけで白い送り火を作って伝統を守ったと、

我が尊敬する京都在住の道草先生からの証言があったばかりだ。

亡くなった方を思い起こし、その絆の深さに感謝し、又元気が出たようである。

関東の熊谷では、気温40,9度という観測史上最高値を出した記念すべき日だ。

と言っても、我々新婚の所為ではないですよ!

 

妻は今夜も休みなく、早速勉強に打ち込んでいるようである。

素敵な放送の御蔭で、今日も一日いい日。

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テレビで放映 五山の送り火 への2件のフィードバック

  1. 道草 より:

    五山の送り火の日、昼間の京都は38.6℃と今夏の最高温度を達成しました。因みに南部の京田辺市では39.0度と信じられない暑さです。見渡せば日本各地にあって40℃を超え、岐阜の多治見市と埼玉の熊谷市において40.9℃と74年振りの記録更新とか。これまでの記録保持者である山形市(40.8℃)の人達が、テレビのインタビューで「残念!」と悔しがっていました。余熱(31.8℃)の残る夜の京都の街には、それでも10万人の人出があったようです。斯く言う私は、クーラーの下で頂戴した銘酒を冷やして嗜みつつテレビで送り火を観戦しておりました。それも、野球(阪神―中日)と交互に観るなどの誠に横着な態度で、いずれにしましても、夏の夜を勝手気儘に楽しんだ次第であります。
    河合隼雄氏の講演でしたか、「昔は遊びがふんだんにあり、子供の人格形成は遊びによって出来た。そこで、人間関係とか負けると悔しいが辛抱しんぼうしないといけないとか、を結局は見習っていく。遊びのルールを変えたり新しい遊びを考えたりして、創造性も養われた。ものすごく新鮮な毎日だった。」との下りが印象的でした。夜は渡月橋下流の「嵐山灯籠流し」また丹後の「宮津燈籠流しと花火大会」など、更に15日には「花背松上げ」も終わり、夏も愈々終盤を迎えようとしております。ただ、今夏の猛暑最高気温更新は、やはり何と申しましても衆目の一致する処、硯水亭Ⅱ家から発せられる熱気の影響大のようです。どうかお手柔らかに・・・。
     
    「花背の松上げ」  白川 淑
    出町柳からバスに乗る鴨川を越えて 賀茂街道へ薄暮のなかを ひたすら北へ北へ──鞍馬あたりから 細い山道になり北山杉のトンネルをくぐっていくむかしの若狭裏街道を登っていくヒトの道か ケモノ道か足もとは 山肌をおおう羊歯のむれようやく花背峠にあっ見えた! 別所のバス停ずいぶん前に訪れたことがあった「よう わさったな」姉さん被りのおばさんが迎えてくださったここは平家落人の隠れ里ことばも京の町中とは違っていたかたしの母方の出所(でしょ)の血すじの地さしずめ 曾祖父は杣人(そまびと)であったろうかひんやりとかよう 盆の風小山にかかる ひと掃きの霧それから もっと奥へ奥へ──大堰川の上流に出る川添いに ぼおっと浮かぶ祭りちょうちん春日社のお灯りらしい村人は ここで愛宕さんの火種を受ける御神酒(おみき)で身を浄めた男たち 数十人むこう鉢巻き はっぴ姿 が灯籠木場へ  トントン カンカン  トントン カンカン心音のようにゆっくりと繰り返される太鼓と鉦の音が墨いろの山影から谺してかえってくる河川敷に立てられた 千本の地松に一本一本 ていねいに点火されていくあたりいちめん 火の海中央にすっくと立つ 檜の大木二十メートルばかりの頭には笠がのっているその大籠をめがけて 上げ松を放り投げる  トントン カンカン  トントン カンカン四方八方から 真っ赤な松明(たいまつ)が飛び交う「バスケットみたやな」と見物人放物線を描いて落ちてくる 炎の尾なかなか命中しない火の海にぱっと火花を咲かす炎の玉「ああァ惜しいな もうちょっとたったのにィ」ふと さきごろのサッカーを思い出した「ワッ入った やっと入ったァ」太鼓と鉦がはやしたてる土手から橋の上から 歓声 拍手一の松を投げ入れた者は一年の無事があるという二の松 三の松 次から次へ……やがて 大籠から立ちのぼる火柱 舞いちる火の粉「オリンピックの聖火より見事やおへんか」「ほんに心に沁みますな なんちゅうても おしょらいさんの送り火どっさかいに」ここらあたりのお婆さんが喋っている夜空を染めた炎が燃えつきるころ灯籠木(とろぎ)が倒されるドーン 大地を叩く音響いつしか 火の海も鎮まってもとの おとなしい山里にもどっていたほっとひと息ついて見あげると 上弦の月シルクのような暈をかざして特等席から眺めていた 
      

  2. 文殊 より:

             道草先生
     
     本当に暑かったですねぇ。東京の場合は道路からの跳ね返り熱でしょうか、ヒートアイランド現象のただ中でしょうか、お盆が終わったら、一気に蒸し暑さを増して来て、参っていました。ところが今日は一転して寒そうな朝を迎え、クーラーなしで外気を入れても寒いぐらいの状態なんです。 久し振りに会社にはスーツで参りました。漸くでしょうか、このまま秋になって欲しいところです。関西以西はまだまだ灼熱地獄でしょう。改めて残暑お見舞いを申し上げる次第です。野球観戦をしながら、五山の送り火を観て、冷酒を召し上がられる道草さまのご様子が手に取るように見えますよ。うふふ、いいですねぇ。タイガースは球宴の後破竹の進撃で、先生には堪らないでしょうね。東京にいるモノとしてはいささか憂鬱なジャイアンツです。巨人時代の松井秀喜と主人と何度も飲んだことがありました。松井選手は銀座の飲み屋はたった一軒だけ決まっていて、スポーツ関係の記者や高校の先輩後輩しか連れて来ない方でした。女っ気がなく、早く嫁さんでもと、今は声を大にして言えますね。あはははは!嵐山の灯篭流しや宮津の灯篭流し、そして花背の松上げ、豪放磊落なお祭りで、やはり送り火の一つなのでしょう。白川淑さんの詩はさすがに詩人らしく、鋭い感性で網羅されているように思われて嬉しくなりました。そうしてこれからの京都は、化野念仏寺の千灯供養があって、無縁仏を弔い、又子供達中心の地蔵盆が行われることでしょう。路地裏に子供達の歓声が聞こえるような気が致します。
     
     河合隼雄さんの論文や著書は分かりやすく書かれてあり、我々のような門外漢もよく理解が出来ることが多いですね。先生のおっしゃっていることは箱庭療法と申しまして、日本には合うものだと先生も我々も信じています。ユングだけですと、独特の日本文化には合わないことを河合先生が一番知っておられたのでしょう。私は特に明恵上人の夢に着目した論考が好きです。全く別な視点から指摘をされるので、あっと驚くと同時に頷いている私がいます。先生のご子息も心理学の先生ですから、学者一門の名に恥じない立派な伝承がされて行くことでしょう。
     
     いいお酒は不思議と翌日の残らないものですね。いいお酒の判断は、私の場合キレでもなく、コクでもなく、のどごしがいいのが最高だと信じています。先生はキレ・コク・喉越しの三つのうち、どう言う順番でしょうか。なかなか難しい問題ですが、絶対にいえることは飽くまでも個人的嗜好なのでしょう。安価なお酒でも富山の銀盤は、精米技術が半端ではないだけに、さすがにいい喉越しをしています。日本各地にいいお酒がたくさんあります。これからもどうぞお楽しみ下さりませ!今日も有難う御座いました!

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