秋の七草までの夏の花々

水引草

                                                             林下に咲く水引草

 

 

             秋の七草までの夏の花々

 

 

 今年の夏は酷く暑い夏である。早く寒冷前線が南下して来ないかなぁと思えども、北極そのものの氷河が最小になっていると言われ、どうなっているのだろうと、改めて地球温暖化を考えさせられる。気温40、9度を観測史上初めて出した岐阜県多治見市では、翌日何と0,1だけ下がった40、8度と観測され、それこそ冷房機から外気へ吐き出される熱風を浴びているようなものだったろうと想像し、改めて地域の皆様へ心底から残暑見舞いを申し上げたい。然しこんな暑い最中でも、色とりどりに真夏の花が咲くわけで、野山にある花々を想定して、幾らかでも涼を取りたいというものであろう。

 【水引草】 日陰に淋し気に咲いている水引草は、紅白の染め分け水引を思わせ、風情たっぷりである。目立たない花だが、昔から文人や茶人に愛され、庭園にも植えられる。傍によってよく観ると、鮮やかな紅色で、その美しさには驚かされる。別名を水引、毛蓼(ケダテ)とも言わている。各地の山野の林下に自生する多年草で、細くしなやかなムチ状の茎に小花を咲かせ、赤が主役だが、白やピンクも混在する。花言葉は「ささやかな歓び」 方言では三宅島で、子供達のままごと遊びに使われるからアカノゴハン、質素な美しさが線香花火を思わせるので、千葉ではセンコウハナビ、和歌山ではフデフキグサ。

             水引草 水引草のアップ

 【赤のまま】 道路や野原のいたる処に生え、赤い穂のように花を咲かせる。可愛いネーミングから言ってもいかにも子供達に親しまれて来たかが分かろう。ありふれた草花だけに、いつもは特に注意を払わないが、寄り集まるとさりげなく咲いていて、清楚な感じすらする。新・秋の七草の一つに、俳人・高浜虚子はこの花をあげた。別名に犬蓼(イヌタデ)、赤まんま、花蓼(ハナタデ)などがあり、蓼は香辛料に使われるが、これは香辛料にはならない。日本全土に分布し、花後黒褐色に光沢のある実が花の中で結実する。花穂は垂れ下がらない。新潟や群馬ではオコワグサ、島根ではカワタケと呼ばれる。

 【鳳仙花】 今ではホウセンカの実を指で挟んで、種子を飛ばす経験のある子は少なくなったかも知れない。今にもはじけそうな実をそっと抓むと、種子は猛烈な勢いではじけ飛んだ記憶がある。別名は爪紅(ツマベニ)、美人草、飛草(トビグサ)。学名はインパティエンは性急なという意味で、無実の罪をはらすために死んで花となった女性が、誰かが触れて袋を開き無実を実証したというギリシャ神話から来ている。別名のツマベニは、昔この花の紅でネールアートをして楽しんだから。又種子がはじけ飛ぶために飛草という。インド・マレー半島・中国原産の花で、日本のツリフネソウの仲間である。横向きに咲き、よく観ると左右対称になっていて、五弁花である。花色は赤、紫赤、桃、白などであり、絞りのものもある。一重と八重があり、実は熟すと、急にはじけ飛ぶ。乾燥させた葉を煎じて飲むと、風邪に効くといわれ、生の葉は搾って、汁をつけると、腫れが引くという。果実は成熟直前に獲り、日干しにして、乾燥したら種子を獲る。それを煎じて飲むと魚肉類中毒の毒消しになるというが、毒性が強い花だけに、量を間違えて多量に使ってはならない。花言葉は「私に触れないで」「短気」「性急な」

 【向日葵】 ゴッホの絵や映画「ひまわり」を思い起こす。真夏の太陽のもとに咲く代表的な花で、黄金色に大きく堂々と咲く。ソ連の国花である。別名日輪草(ニチリンソウ)、日車(ヒグルマ)、迎陽花(ゲイヨウカ)、サンフラワー。太陽に向かって咲くというが、実際には茎が成長する時に、茎の頂部が太陽を追って向きを変えることがあっても、花が咲くと、その動きは止まってしまう。キク科の一年草で、通常2~3㍍に及ぶが、大きい花で茎だけ6~7㍍に成長する花もある。花期は盛夏で、直径30㌢ほどの頭状花は横向きに咲く。大きくなり過ぎるとうなだれて咲く。中心の管状花は黄褐色で規則正しく咲いている。種子はひと花から千個も取れる。北米が原産で、コロンブスが欧州に持ち帰り広めた。日本には中国を通じて渡って来た花である。種子をフライパンで煎ると美味しいし油も取れる。東欧ではこのために栽培が盛んなようだ。シマリスやハムスターの餌になり、大リーグの選手達はしょっちゅうこれを食べて、殻だけは上手に野球場内に吐き捨てている。滋養・動脈硬化に効果がある。花言葉は「敬慕」「高慢」「崇敬」

 【カンナ】 最も夏らしい強烈な印象の花で、この花には伝説がある。ビルマの悪魔デワダッドが、仏陀を殺そうとして石を投げつけた。石は仏陀の足に当たり粉々に散ってしまい、大地は怒り、デワダッドを地の穴の落としてしまう。仏陀の足から鮮血が流れ、そこにカンナの花が咲いたという。まさに血を思わせる鮮やかな色をしている。江戸時代の歳時記では「炬火(もえび)の如く」と形容されている。真夏の太陽が最も似合う花である。別名はインディアンの弾丸。熱帯アメリカや熱帯アジアが原産で、カンナ科の一年草。茎頂に円錐花序をなす。がく片と花弁からなり、三枚づつある。雄しべも花弁化していて華やかである。色は赤、黄、オレンジ色が代表格で、若干ピンクにもある。どの色も混じり気がない鮮明な色彩である。葉は緑色と赤銅色になるものがあり、大別してフレンチカンナ系とイタリアンカンナ系があり、フレンチカンナは矮性大輪で、花弁の幅が広く大きく種子が出来る。しかも多くの品種がある。イタリアンカンナは背丈が高く、三倍体で実は結ばず品種は少ない。日本にあるカンナは殆どがフレンチカンナである。花言葉は「妄想」「疑惑」「堅実な最後」

 【木槿=ムクゲ】 至る処に見られるありふれた花で、夏から秋に掛けて、ハイビスカスに似た花を次々に咲かせる。朝開き、夕方にはしぼむ一日花で「槿花一日の栄(きんかいちじつのえい)」と言って、栄華は長く続かない譬えに使われる。韓国の国花。別名は、はちす(蓮の花に似ていることから)、木はちす、夕影草、もくげ。アオイ科で中国原産の落葉低木。根元で枝分かれして真っ直ぐに伸び、花をたくさんつける。紅紫色、白色底紅色、白色などがあり、一重咲きの他、半八重、八重のものがある。又茶花としても好まれ、茶人・宗旦が好んだ白花底紅のものには、宗旦ムクゲの名がついている。花は朝開き、夕方にしぼむ。歴史上から見ると、平安時代に中国から渡って来たものであろう。万葉集に詠まれている秋の七草の一つ、アサガオはこのムクゲだとする説もある。花木は丈夫であるので、よく生垣に使われることが多かった。雅趣のある花なので、茶花としても需要が高い。又白花の蕾には下痢止めの作用があり漢方薬として使われている。樹皮には水虫やたむしを治す薬効がある。花言葉は「説法」「勧誘」「デリケートな愛」

 【百日紅(サルスベリ)】 枝先に淡紅色の花をたわわにつけ、真夏の庭園や公園と彩っている。傍で観ると、花弁がフリルのように縮れている。次々に蕾が開いて行くので、百日間咲いているように見える。冬には葉も落ち滑らかな樹肌の幹だけになるので、夏の趣とは大いに違うことになる。百日紅は花を長く咲かせることから来ている。サルスベリは幹が滑らかなので、猿もすべるということかららしい。特徴は落葉高木で、葉は普通対生し、枝先に大きな円錐花序をなし、下方から咲き始める。花は六弁でちりめん状に縮れている。花色は帯肉紅色、桃色、紫色、白色などで、秋には紅葉し蒴果がつく。中国南部からミャンマー北部の原産で、我が国には江戸時代に渡来した。近年東京の高島平など街路樹が目立つようになっていて、美しい。用途は材料が加工しやすいことから、細工ものに使われ、腐りにくいので床柱にも使われる。ステッキなどにも重宝である材だ。花言葉は「雄弁」。福島や香川で言われるサルスベリはナツツバキのことであるので要注意。

 【芙蓉(フヨウ)】 純白のことを「芙蓉の高嶺(ふようのたかね)」といい、富岳に譬えられている。それほど白い芙蓉の花には高潔なイメージがある。又「芙蓉の顔(ふようのかんばせ)」と言えば清楚で美しい人の譬えである。落葉低木であるが、関東地方などでは地上部が毎年枯れるので多年草と思われがち。上部の葉腋に直径10~13㌢の大輪の花が咲く。花弁は五弁で、色は淡紅と白がある。所謂一日花の典型であり、朝開いて夕刻にはしぼんでしまう。九州南部から沖縄に掛けて咲き、温暖な土地に庭木として植えられている。但し裏日本に当たる越中八尾の風の盆には、或る意味でこの花が主役であるかも知れない。酒にほろ酔いになった楊貴妃の美しさにちなんで、『酔芙蓉』と名付けられ、半八重咲きで、咲き始めは白、午後3時過ぎには淡い紅が差して来て、夜には真っ赤になってしぼむ。微妙な色の変化が楽しめるので、八尾では風の盆にふさわしいとされ、お祭りの時は各家ごとに鉢植えが表通りを賑わせてくれる。如何にも八尾らしくていいものである。又フヨウは日本も中国も自生するが、中国では古くから愛された花であった。でも中国ではフヨウと言えば蓮の花を指し、蓮には『水芙蓉』と『木芙蓉』と区別して当てている。然し現在フヨウと呼ばれているものはすべて木本性のものに限っている。花言葉は「微妙な美しさ」「繊細な美」とか。

 立秋が過ぎてから、尚一層厳しい暑さに見舞われている日本列島。上記の花々は夏の草花なれど、秋の匂いも幾分かするから不思議だ。御蔭様で関東では本日クーラーが必要ないくらいに涼しい。やっとほっとしているが、西日本の方々にも、もう少しすれば平年並みの季節になることだろう。もうひと頑張りですね。そして23日の処暑に向かって一直線。京都では処暑が終わると直ぐ、子供達の賑わう地蔵盆が行われるだろう。そろそろ八尾の風の盆に行く心構えが必要かも知れない。 そう言えば八尾の夜も例年蒸し暑い。一睡も眠らずに、朝まで町流しを追い続けていたい。

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