寒露

日本酒

 

 

         寒露

 

 

 ようやく寒さを感じる時候になって来たようですね。 皆様にはお変わりは御座いませんでしたでしようか。さて昨日の10月9日は二十四節気の中の九月節に入り、太陽視黄経度195度で陰寒の季に入って、目に見えて徐々に夜が長くなって行くのを実感出来る日です。露も凍結する寒露(かんろ)と呼ばれている日で、稲の収穫が終わろうとし、そろそろ菊花咲き, 紅葉も準備に入る時季なのでしょう。フランスから帰って、三日後再び火急の用件で、西オーストラリアのパースとニューヨークに行き、昨日の午後に慌しく帰って参りました。今回は妻を伴ってのフライトではありませんでしたが、今度もまた仕事漬の日々で御座いました。普段何処へ行くにも必ずこのパソコンを持ち歩くのですが、仕事で目一杯になることが目に見えている時は、このパソコンを連れて参りません。でも幾ら忙しくても時々書かないとどうも調子があがらず、普段と違う過ごし方はなかなか疲れるものです。パソコン、特にBlogにはそれなりの効用があるのでしょう。

 

 

       【燗酒】

 

 寒露(今年は10月9日)から霜降(10月24日)に掛けて一層日本酒が美味くなる季節です。昔は旧暦9月9日からは燗酒にしたようですが、お燗をあまりに熱くするとお酒本来の味を損ねるようです。幾ら熱燗でも、精々55度が限度でしょう。かく言う私は真冬でも冷酒を欲しがる方なのですが、お付き合いのお酒で燗のお酒も飲む時があります。普通のお酒には醸造用アルコールが多く含まれております。これが曲者でして、一般のお酒には醸造用アルコールの割合が非常に多く、大吟醸や吟醸酒にも入っていますが、この場合の割合はほんの少々で香を立たせる程度の用件のみですが、一般のお酒は多量に含まれており、私はこれに弱いのです。二日酔いなどになるのはこれが正体で、人によっては丸二日間もなかなか消化吸収されないので、割合が多いお酒は後々まで残って、頭痛や吐き気の原因となってしまいます。こういうお酒はお燗にして飲むべきでして、お燗によって多少なりとも余分な醸造用アルコールを飛ばす力が加わります。でもいい冷酒にはその心配が殆どなく、気持ちよく飲めてしまうのです。特に純米酒の原料には米と米麹のみで、醸造用アルコールが一切入っておりませんので、二日酔いに弱い御方は是非純米酒をお薦めしたいものです。

 さて晩秋から寒に掛けて仕込まれるお酒は、早いものですと、次の年の2月から店頭に出始めます。然しこの頃の新酒は丸やかさがなく、まだ去年のお酒が美味い時季でもあります。新酒が出来ると蔵元では杉林が下げられます。杉林が青々としてあるうちは、味に深みが出て参りません。酒を仕込むのに最も適した寒中に仕込んだお酒が初飲みされるのは6月~7月頃ですが、この頃でもまだ味がツンツンして角ばっています。酒の味が角が取れ味に丸みを帯びて来て一層美味くなるのは、暑いひと夏が過ぎて、10月頃からその冬いっぱいまでで、年数が経てば美味しくなる他のお酒とは大いに違い、日本酒の生命は極めて短いのです。二年以上経ったお酒は古酒と言いますが、古酒でも皆すべてが美味しいとは限りません。永くなればなるほど、まるで焼酎のような味に変化してしまうからです。かびによって造られ、かびの微妙な働きによって味が変わる日本酒は、蔵から出すとたちまち光線や気温の差によって影響を受けます。地酒はその土地で飲むのが一番美味いと言われる由縁です。従ってお酒は生き物なのです。扱いには充分気をつけ、常温にしておいて良いものかどうか、適切に判断したいものです。ラベルに記された蔵出し月日を確かめておくのも是非しておきたい習慣です。お酒全体が完熟して美味しくなるのは、10月頃からで、辺りがひんやりと冷たい夜気が入って来る頃で、空気はからっと乾いています。粘り気のあるまろやかなお酒の味を、こうした天候が一層美味しくさせてくれること請け合いです。

 お酒の良し悪しを判断する言葉として、主に三種類の重要な言葉があります。『キレ』『コク』『喉越し』です。『キレ』とはどんな製造意図や主張があるのかはっきりと分かることで味がしまっています。米麹の味が味全体をきりりと〆ている、精米技術も確かなもので、いいキレ味だと。『コク』とはお酒も持つ濃厚な奥行きの味のことです。余分なグルソーや人工甘味などの添加物が雑味として出過ぎていないか、醸造用アルコールが角張っていないか、熟成のみで何処まで味に深みを与えているのか、こういうことがコクです。素晴らしいキレを持ってコクがあるお酒は何と美味しいのでしょう。でも最後の『喉越し』のことですが、幾らキレがよくコクがあっても喉越しがどうしても悪いお酒があります。適度な淡麗さが求められます。濃厚な味だけですと、途中で重くなって嫌になって来ます。更に一層美味しさを引き立たせてくれるものはお酒のアテ(おつまみなど)でしょう。 逆にお料理に合わせて、お酒を選択することだってあります。

 今日は久し振りの休暇です。午前中からお酒のアテ造りをし、午後早いうちから自宅で寛ぎ、いい冷酒でも飲みながら、日頃の仕事のストレスを排除したいものです。週末には恥ずかしながらささやかな結婚式とお披露目が待っています。準備はすべて完了致しました。妻はさすがに女の子です。お色直しなど、色々な着物や洋装を準備していることでしょう。二人にとって生涯たった一度の晴れ舞台ですから。

 

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寒露 への2件のフィードバック

  1. 道草 より:

    十月十日は以前なら「体育の日」の祝日。その日に違わず、今日は今秋一番の爽やかな快晴と相成りました。文字通り東奔西走の超ご多忙の折柄、また克てて加えて薀蓄横溢の日本酒論、さすがに祭博士酒博士の面目躍如と感服頻りです。「白玉の歯に沁み透る秋の夜の酒は静かに飲むべかりけり」。知らぬ者らの無い牧水の歌の如く、今頃はただ冷や酒の旨い季節ではあります。然し、硯水亭Ⅱさんにしてあれば、一人静かににも況して今は二人和やかに飲む酒に勝るものはないと申すもの。祝事を間近に控えて、その美味も一入と御慶び申し上げます。
    「酒の名前」   諏訪 優十月もなかばを過ぎ、酒のうまさが身にしみる。好きな女(ひと)と、あるいは気の合った仲間と、ゆっくり飲むのが最高である。今ひとつ、わたしが好きなのは、身も心も空(くう)にして、ひとり静かに呑む酒である。そんな時に、思いがけぬ詩の一行を得たり、忘れていたひとのことを思い出したりする。酒はもちろん熱燗にして、古伊万里のぐい呑みで呑む。ツマミは適当に、にぎやかにあった方が良いが、無ければ無いで、梅干しでも良し、焼海苔でも良い。酒の銘柄にはこだわらないが、できたら辛口の二級酒、それも、どこかの地酒がいい。越後の”幻の何とか”など、わたしの口には合わない。それにしても、商売上手とはよく言ったもの。”幻の何とか”は、おひとり二本までに願います。なんて張紙がしてある店がある。神話化してますます儲けようという魂胆か。誘われればとにかく、ひとりでは二度と行かない。未知の土地で未知の地酒に出会うのもまた楽しい。わたしが旅行好き理由のひとつにそれがあるかもしれない。酒にはどれも、実にいい名前が付いていて感心することしきり。「ほほう!」と思わず唸る名前もけっこう多い。ウィスキーの名前も多彩で楽しい。スコッチ・ウィスキーだけでも無数にある。今も忘れられない名前のひとつは”王様の身代金(Kings ransom)。いい名前である。              

  2. 文殊 より:

           道草先生
     
     いやぁ、昼間の独り酒はよう利きますねぇ。午前中近所の魚屋に行きましたら、何と言っても最高の旬の魚は真鰯でした。勢い50本ほど購入して参りました。刺身、焼き魚、酢の物、蒲焼、摘み入れ(ツミレ)団子、生姜を利かせて煮魚も、鰯尽くしのお酒のアテです。成東などの千葉の浜辺でやっている鰯をたたいて葱味噌を合わせ、冷蔵庫でちょいと冷やしてから食べるのも調子に乗って造ってしまいました。御蔭でお酒の進むことこの上なしで、妻がいたら叱られそうな気がします。それでも自負があります。お酒は好きで飲む以上、矢鱈と飲んだくれないこと。お酒のせいにはしないと。酒飲みの鉄則でしょう。全国のお祭り行脚をしているうちに、必ず出て来る日本酒で、何時の間にかお酒の中でも好きな部類のお酒になっていました。キレ・コク・ノドゴシの三原則のうち、私はやっぱりノドゴシを最も重んじているでしょう。飽きないお酒が一番だと思っています。
     
     諏訪優さんの詩は言い得て妙ですねぇ。特に有名なお酒を売るお店の存在は実にその通りですし、酒蔵ごとそうなんですから始末に悪いですね。
    造り過ぎている日本酒も最近見受けられます。それは駄目ですね。でも海外、特にパリで有名になった日本酒で凄い淡麗なお酒がありますが、何と言っても年間数百本と数が少ない(これはマジです 全部ナンバー付きです)お酒にいいのがあるんですが、通常手が届く範囲の値段ではなくなりました。その辺の大吟醸が楽に4~5本買えるのですから貴重なモノです。蔵元は鎌倉時代からある酒屋で、新手法は一切ありません。或る方と次のお正月を、このお酒で共有したいと願いつつ、今から予約してありますが、やはり凄くていいものはいいのです。その証明にもなるでしょう。何がいいか、それは杜氏かも知れませんが、良いお水と手を抜かない方法での精米技術があることです。精米はお米同士もませるために熱を持ちますが、擦った時に熱が発しない昔からの方法でやられるので、数が出来ないのです。生きているうちが花ならば、生きているうちに、美味しいものには特に目を細め続けたいですね。今日も有難う御座いました。
     

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