寒ごり・寒げいこ

             北野天満宮北野天満宮西利

今年の北野天満宮の白梅と燈籠 右写真は漬物屋さんの『西利』店内

 

 

                   寒ごり・寒げいこ

 

 お年賀状を出しそびれたりしたところなどに出す年明けの葉書に、寒中お見舞いと書けるのは、小寒から節分までの約一ヶ月間である。ちょうどこの「寒」の時季に、昔の人々は挙って寒ごりや寒げいこをしたものである。寒詣りとは裸詣りとほとんど同義語であることが多く、寒ごりとはこの時季に真水をかぶって修業することである。寒げいこは柔道や剣道で盛んに行われる。柔道場の畳の冷たさや剣道場の板敷きは半端な冷たさではない。但し中山・法華経寺などで行われる寒ごりは、幾ら宗教的・民族的な行事であるとは言え、それ相応の覚悟と意志とそれに伴う鍛錬が必要であろう。エコとはいうものの、暖冷房に慣れきった現代人がいきなり挑戦するとなると、寒暖に調整力を持たない身体なわけで、身体を強くするどころか逆に悪くしてしまいかねない。「寒さに負けて堪るか」という気力や言語が刺激になって、身体はその準備を始める。この準備があれば、皮膚は敏感に反応しなくなる。次第に寒冷に慣れさせておくと、身体の中に寒さに対する調整力が自然と身について来るのであろう。通常真冬の戸外に出る時、予め寒いぞと言い聞かせるのも有効かも知れない。

 先日妻と歩いた京都の町では、今にも雪が降りそうで寒くて参ったが、風速が1メートル上がると気温が2度℃ほど違って感じられるようである。体表の暖まった気温が吹き飛ばされるため寒さを感じてしまうからである。重ね着もいいが、一番外側には風を通さない目のつまった生地のウィンドブレーカーなどを着ると有効で、屋内では加湿が必ず必要になろう。暑さ寒さも彼岸までとはよく言われるが、寒さは節分を過ぎると徐々に気温が緩んでくる。そして2月20日をピークに東伊豆の河津では、早咲きで大輪の河津櫻が見事に満開となる。尤も南北に長い日本列島の沖縄では櫻祭りがただ今真っ最中で、寒緋櫻がこぼれんばかりに咲き誇っている頃合だが、一方北国の八甲田山や蔵王山の樹氷は北風や寒さが厳しければ厳しいほど、見事に成長をするという。人も樹氷のようでありたい。 寒ごりや寒げいこには、そんな意味が含まれてあるのだろう。

  椿寒櫻  沖縄県本部町の寒緋櫻

 

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寒ごり・寒げいこ への3件のフィードバック

  1. 道草 より:

    「寒垢離や首のあたりの水の月」(一茶)。見るからに聞くからに寒垢離・寒稽古など、寒と付くものは寒そうです。私は冬の間もほとんど素足のサンダル履きで出歩いておりますものの、今頃の季節はやはり出会う人に不思議な顔で見られているような気がしないでもありません。家内が恥ずかしいからと申しますので、さすがに早朝散歩の折りは、せめて運動靴を履くようには心掛けております。「八宗の中にも真言宗には、秘密の法だの、九字を切るだのと申しまして、不思議なことをするのでありますが、もっともこの宗門の出家方は、始めから寒垢離、断食など種々な方法で法を修するのでございまして、向うに目指す品物を置いて、これに向って呪文を……」(「湯女の魂」泉鏡花) やはり、寒垢離は並み外れた厳しい修行のようです。水中行となれば私などやはりテレビなどで観るばかりで、まさに他人事に思っておりますが、一番この寒行が必要な人種かも知れません。硯水亭Ⅱさんなら、ご経験がありそうに思えますが・・・。いずれにしましても、「寒中に汲んだ水は腐らない」と言いますから、寒中の水中はご利益多々と思われます。昨日の京都市内は、冷たい雨が一日じゅう降っておりました。北山の辺りはもしかして樹木の雪が凍っているやも知れません。今宵は部屋を暖かくして、寒酒ならぬ樹氷酒をと、不謹慎なことを考えております。謝々。
    「岩手軽便鉄道の一月」 宮沢賢治
    ぴかぴかぴかぴか田圃の雪がひかってくる河岸の樹がみなまっ白に凍ってゐるうしろは河がうららかな火や氷を載せてぼんやり南へすべってゐるよう くるみの木 ジュグランダー  鏡を吊しよう かはやなぎ  サリックスランダー  鏡を吊しはんのき アルヌスランダー  鏡を吊しからまつ ラリクスランダー  鏡を吊しグランド電柱 フサランダー  鏡をつるしさはぐるみ ジュグランダー  鏡を吊し桑の木 モルスランダー  鏡を・・・・・・ははは 汽車(こっち)がとうとうななめに列をよこぎったので桑の氷華はふさふさ風にひかって落ちる

  2. 文殊 より:

           道草先生
     
     先生の朝のお散歩における素足での散歩こそ、寒ごりではないでしょうか。私にはとても出来ません。この記事は私への叱咤激励する文章でありまして、泉鏡花ご指摘の通り、真言密教には修験者の要素が多分にありまして、様々な荒行があるようです。日蓮宗も負けていませんで、千葉県中山の法華経寺では寒のうちに、殆ど日をおかずに寒ごりがあります。寺内にある人工の滝にも打たれて、いやはや観ているこちらがはらはらするばかりです。高校時代まで真冬には剣道で寒げいこの経験がありますが、朝早くからやる打ち込みには相当な気合が必要でした。大学に入って間もなく、居合をさせられましたが、今考えてみると精神的に充実しいい時期であったなぁと述懐すること頻りです。
     
     寒酒と言えば、お酒造りに寒ざらし(?)と言う手法があるようです。寒ざらしと言えば白玉粉や饂飩や染色の一過程や蕎麦の製法と決まっておりますが、寒仕込みと言うと今度は味噌の仕込みかなと想われるのですが、何々立派な寒中のお酒の仕込みのことを言うのがあるのです。先生ご指摘の通り、真冬のお水は大変綺麗なお水が多く、酵母にも雑菌が入りにくく、寒中に仕込み生しぼりで飲むらしいです。多くの醸造元では全部が全部ではないものの、こうした方法が取られていることが多いようです。通常雑菌退治に火入れをするのですが、感仕込みには火入れ消毒する必要がなく、生酒の絞りたてのお酒が味わえるようです。もう直ぐ致しますと、寒仕込みのお酒が出て来る頃でしょう。
     
     先ほど帰って参りました故、これから山形から届いたばかりの山菜のウルイの酢味噌和えでも作り、冷酒で、先生の方角に向かって乾杯などをしたいものです。樹氷酒と致しましょう。今日は青森のお酒で、田酒というのがあるのですが、それを冷酒で飲ることにします。ではでは乾杯!!賢治の詩篇を繰り返し読みながら!有難う御座いました!!
     

  3. 文殊 より:

    感仕込み×→寒仕込み○ 失礼致しました!

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