半夜

 

 こあじさいこあじさいこあじさい

 季節の花 コアジサイ

 

 

 

                   半夜

 

 

 昨日はZARDの坂井泉水さんの命日であった。今日は主人の月命日。そんな折梅雨の足音を聞きながら、先日来私の退職の件で、役員会やその他で喧々諤々の状態が続いた。現会長は就任してから未だ二年に満たない。経験が少なく浅いのだ。経営者というのはマニュアルなどないのが当たり前で、マニュアルとは誰でも仕事が出来るように通常社員用に作ってある。ところが経営者には或る程度の専用マニュアルを作れても、そこから先が最も重要なことで、あらゆる部分に神経を張り詰めていなければならない。些細なことも何一つも見逃してはならない。勘も大切な要素である。そんな意味から言ったら、支店や支社まで神経が行き届かないなら、一切拡大すべきではない。今日「船場吉兆」が偽装に次ぎ、使い回しがばれて遂に70数年の古い暖簾を下ろすことになった。拡大したツケが来ただけのことである。いつだったろうか、多分10年以上も前にもなろうか。主人と二人で、久し振りに京都・高台寺脇の『菊乃井』にお邪魔したことがある。珍しくその時先代の奥様であられる大女将がお部屋においでになられ、京美人の若女将と一緒にお給仕をして戴いた。「吉弘(菊乃井の三代目)が他に店舗を出したいと言うてはるが、私は断じて反対でんねん」と内輪話をして戴いた。目が行き届かないから駄目だと堅くおっしゃっておられた。私たちも神妙な思いで伺ったものであり、在りし日の「吉兆」の初代目であり文化功労賞の湯木貞一氏が永年築いて来られた信用を一瞬にして水泡に帰した罪は重い。あの時の菊乃井の大女将が話された真剣な面持ちを私は決して忘れられない。徳島の料亭『青柳』のご主人である小山裕久も名料理人であるけれど、徳島地元の駅前デパート内にある「青柳」の支店は悲惨な味であった。徳島本店隣でやっている小さな実験的お店「婆娑羅」の時代が無性に懐かしく感じられてならない。あの菊乃井の先代女将はご健在なのだろうか。村田吉弘も又小山裕久同様に東京に進出して来ているが、目が行き届いているのだろうか、不図気懸かりになって来るのである。

 私たち普通の会社も全く同じで、目が行き届く範囲内で仕事をさせて戴いている。海外支店は特に目が行き届いているかどうか、連日チェックしている。決裁の権限は一定のルール以外一切与えられていない。支社内だけでのチェック体制もちゃんと機能している。従ってすべてが東京本社に逐一情報が集まって来ることになっており、亡き主人がその辺のソフトを導入し開発したのだった。だから主人本人の神経はいつも張り詰めていて、片時も仕事のことが頭から離れることはなかった。アラスカのフェアバンクスでオーロラを観ている時も、ハワイのノースショアで波乗りしている時でさえ、一切仕事から解放されることはなかった。それが重篤な僧坊弁心不全の病に倒れる結果になったのである。よく働いたものだった。生前主人は個人資産だった殆どのビルを多額の納税をして会社所有に替えた。ただ一つ心配だったインベスト部門もスイスにある最も権威あるパーソナル・バンク中心に切り替えた。支社・支店は明確な目的がある以外は置かないことにした。東京本社の決裁は、本社が巨額の資本金を持つ日本有数の有限会社で、300名社員がいるうちでたった40人が本社員で残る7社は株式会社である。原則として8社ある会社の社長たちによる集団指導体制にし、同族の個人企業を自らがすべて排斥した。そして誰でも経営が出来るようにしたのである。それには、自分のような思いは誰にも決してさせたくないという一心であったはずで、主人の没後役員会の全員一致により、弟君さまがCEOに推挙され現在に至っている。

こあじさい

 

   これらの花は亡き主人が今時分に咲く花として一番好きだったコアジサイの花である。二人で初めて観たのは前の建物だった時の『星野富弘美術館』であった。大壺に何十本も投げ込んであったあの美しさは何にも替え難いものである。地上の星であるかのような静かな佇まい、楚々として凛としていた。この花と同時に、主人の口癖を私が櫻灯路に書かせて戴いた幾つかを、今しみじみと思い出している。

 

        故人の口癖集

   1 会社とは 社会の基本であり 働くもの達はみな幸福でなければならない

   2 利益は公平に分配し 余れば公的機関に委ね 公的に役立つことへ積極的に活用すべき

   3 仕事でもプライベートでも 怒りや貪ることや愚かなことを 厳に慎まなければならない

   4 政治家と密室で付き合ってはならない 白日のもとでなら許される

   5 ご維新後未だに150年にも経っていない 国民が成熟していないことは明白だ 乱脈の根源としては先ず自らを律せよ

   6 仕事で急に海外に行く場合があり 従って常に二の矢三の矢を準備し引き継ぎを確実にしておくこと

   7 誰が休んでも業務が滞りなく行われるように 一人の仕事は全員の仕事であると認識し励行せよ

   8 机の中に私物を置いてはいけない いつ誰から見られてもいいようにしておくこと

   9 実業者は文化・芸術にも堪能でなければならぬ すべての仕事の目的はそこに繋がっている

   10 自分本位にいい思いをしようとすることは断じて許さない 先ず相手のことを考えながら ともに生きよ

   11 女子社員にお茶汲みは一切罷りならぬ 如何なる上司であろうとも飲みたければ自分でやるべし

   12 女性は大切に扱わなければならない そしたら女性はもっと美しくなり もっと皆が幸せになるはず

   13 男子は黙って実行すること それを評価するものが 必ずいること信ぜよ

   14 如何なる理由があっても違法行為や脱法行為は厳禁であり 新たな必要があった時立法を懇願すべき

   15 整理整頓し常に身綺麗にしておくこと 心の祓いと清めに通じる

   16 失敗したら直ぐ報告し自ら閉じ籠らないこと 恐れぬこと 勇気を持つこと

   17 先ず他人を攻める前に 自分の非から責めること 偉大な解決策は何でもそこから始まり ずっと早い

   18 教育の問題は近視眼的に解決しないこと 千年の大計をもとにすること 会社でも家庭でも学校でも

   19 靖国の問題は軍人が直接統治した東京招魂社から始まり すべての矛盾の根源があり それらを総括すること

   20 総括しない癖は最も忌み嫌うこと 何事もきちんとした総括をし終えてから前進すること

   21 お盆の前は必ず大きな事故がある あらゆる霊魂が呼ぶからであるが それに決して負けぬこと

   22 日本人の原点は探すより築くこと 二千年の伝統はまだまだ浅いと考えるべし 但し和の勉強は疎かにしない

   23 雪の朝は 必ず全社員が遅くとも朝5時まで集合し 全員で雪かきし入居テナントに遅滞なきようにすること

   24 すべての宗教の根本は同じであり 宗教にセクト主義や原理主義は存在してはならないこと

   25 家庭を大事にすること 上司部下隔たりなく社員は横の関係で 先祖や子孫は縦の関係であり 

     縦横両者が常に上手く噛み合っていなければならぬこと

   26 季節感を常に大切にすること 年中行事を決して疎かにしないこと

   27 世界で活躍したいなら 先ず日本の文化を勉強すること 和のテイストは世界に完全に適応する

   28 お墓参りは欠かさぬこと 日に当たるのが暮(くらし)で 土の中が墓(はか) 日と土とで相乗していることを知れ

   29 幸は生まれ育った土と 反対に下を向いている土とが行ったり来たりしなければ幸(しあわせ)はない 出身・出自を大切に

   30 初心忘るべからずの初心とは 夢や希望のことではなく 稽古と言う意味だから 終生謙虚に励むこと

   31 年寄りを苛めるな行く道だ 子供叱るな来た道だと言い伝えの通り 何人にも愛情を持って接すること

   32 何事も心をこめてやること 心が伴わないサービスはサービスにあらず

   33 酒を伴う仕事や遊びには 必ずその人の人間性が出るから いつでも決して誰にも威張らないこと 

   34 質素倹約に相努めること そしてお金が出来たら 如何に有効に使うか 自己を覚醒させよく考えること

   35 人は死ぬもの 死ぬところから 逆算して自分の人生を決めること そんなに人生は永くないのだから

   36 容易に借金はせぬこと どうせ返さなくてはならないものだからであり 何事も貯めてから始めた方が遥かに楽

 

 などなどである。優しかった主人の人柄がジンジン伝わって来る。主人は又クスクス笑いながら、昔の芸妓さんのように半夜(はんや)で、その日の仕事は終わって休みたいものだとよく言っていたのを思い出している。あの人恋しく慈悲に富んだ笑顔で。結局私の退職は6月末日で認められたが、非常勤であるものの終生「取締役参与」を已む無く仰せ付かった。特にCEOの弟君さまへの後ろ盾になり相談相手になるようにとのこと、新建築すべてに向こう十年間は目を通してくれること、大きな決裁(主に出金)にも向こう三年間は必ず参加してくれること、更に出来る限り社員教育の手助けをすること。とまぁ、ここまで言われたら退職しないのとそう変わりはないだろうが、いずれにせよ主人宅とは決して無縁ではいられない。又その積もりもない。弟君さまは財団の理事長でもあるからで、亡き主人の親子二人に限りなく恩義を感じているからである。主人が最晩年に決めた45歳定年制はまだ始まったばかりだが、人生二度説を主人が強く標榜した結果なのであった。会社に残りたくばそのまま残ればいいし、多額の退職金を一旦手にし、住宅購入や新しい個人事業の資金にもなるだろうと、通常通りの相場ではない退職金で、会社の性格上驚くべき金額である。税金で消えるなら、奮励努力して来た社員に使うべしと亡き主人が厳命したからだ。但しこの制度にはただ一つだけ穴があったかも知れない。人が充分に育ち、当社らしい役員として成長するまでは時間が掛かるということだろうか。私も何人か育てて来たはずであったが充分ではなかったのかも知れない。櫻山計画では本部を本社に置き、前線基地を今までの通りに京都に置かれる。そこで使われた今日までの人件費は原資の金利の範囲内で、ただ一文も原資を使っていない。気を使いながら、私は東京と京都の往復が多くなろう。でもお陰さまで漸くほっとしている。妻に電話したら、出産には立ち逢えるのねと嬉しそうに言う。それは勿論のことではないか、アホやなぁ!

こあじさい

 

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半夜 への13件のフィードバック

  1. 道草 より:

    昨夜来の雨がまだかなり激しく降り続いております。琵琶湖の水位は+12センチ。但し、日吉ダムの貯水量は61.2%と月初の85%から減少しています。降雨の地域性が偏っているようです。会社の件も一応の目途が着いたとの由。今後はその目的に向かって邁進されるのみ、何よりと思います。ただ、大事業を控えながら現会社との関わりもあって、従来に増して多忙極まる状況となられる可能性も見受けられます。個人的にも責任増大の状況が目前に控えており、さぞ大変とは存じます。しかし、言うなれば、男性としての生甲斐を一身(心)に背負い得る経験を持てることは、これ以上ない恵まれた人生を実践されると申しても過言ではありません。亡きご主人の箴言の一つ一つは首肯すべき事柄ばかり。その愛弟子たる硯水亭さんも常に実践しておられる事を、日頃のご言動から実感として伝わって参ります。心身共に万全の態勢を整え、来るべき新しいスタートに敢然と挑戦されますことを祈念しております。間もなく雨は上がりそうです。我が家の庭の隅でも、紫陽花が少しずつ色付いております。目の覚める様な空色です。
     
    「カッコー。」――厳師をおくる  八木忠栄
     
    枕教がはじまるとすぐ庭のくらがりから ひとこえカッコー。雨はあがったらしい線香のけむりひとすじゆれゆれる人のこころをなぞる。縁側のそとから紫陽花が問いかけるもう すみましたか……故人の貌を目にしっかり焼きつけておきなさい。はるかなみちのりをあるいてきてこの岸辺にたたずむひとりぽっち大好きな酒と唄のひとふしをぶらさげて舟にのるそのひと。ユビニタリナイ一寸法師……ご機嫌よろしい旅でありますように。砲声一発!ゆっくり舟を押すカッコー!。舟をかこんでさわぐ小波はおれたちのこころを映す。さあ 闇の底に座して いつまでも酒を酌もう。

  2. 文殊 より:

           道草先生
     
     雨が上がったのでしょうか。先生のお宅にも素敵な色彩をした紫陽花の花があるのですね。東京はまるで氷雨が降ってくるような寒さの雨中にいます。シトシトと降り続く雨は既に梅雨の足音そのもののような感じであります。一応の区切りは着きました。でも皆さんから気を遣って頂いており、今以上の忙しさに忙殺されることがないでしょう。櫻山のことだって、のんびり構えてやって行こうと思っています。私の代では恐らく完成されないかも知れません。それでも何十年、或いは何百年と跡継ぎが出て引き継いでやって行けるように、ちゃんとした計画を立てて参りたいと存じます。
     
     明治の元勲だった山縣有朋や岩崎小弥太など、多くの資産を持ち得た人たちは、あの疲弊した民衆が多い中で一人勝ちだったのでしょうか。でも多くの著名な方々は必ず後世に残るものを残して逝きました。無鄰菴しかり南禅寺の周辺には数多くの別荘が立ち並び、今日まで屋号『植治』の代々の小川治兵衞が明治以降作庭したものが多いのですが、今では立派な文化遺産になって残されています。現代のネット長者たちは自家用飛行機を買ったり、セレブであるがために有名女優と結婚してみたり、だらしがないったらありゃしません。みっともないです。それだけの資金があったならば、せめて明治の元勲や実業家たちの物真似だけでもして戴きたいのですが、無理無体なことなのでしょうか。櫻山に自らが心行くまで没頭したいが為に、主人は45歳定年制を自社で実行したのですが、もうひとたびの人生を生きることは一切ありませんでした。明治から四代で築き上げて来た豊富なモノを、ひたすら日本文化に還元するためにどんなに新たな人生を生たかったのでしょう。それを思うとキュンと胸がつまって参ります。
     
     ホソバシラガゴケの生息地は京北町であります。種苔を取って来て、元の地にも多くの苔を残して、こまかく砕き、地下20メートルから採取した無垢な土に培養し、何年もかけて苔を繁殖させ、それを七代目小川治兵衞は清流亭や織宝苑や洛翠などに使ったのでありますが、多くの樹木や苔も、殆ど京都の庭にある樹木は京北町や花背やあの周辺から集められて参りました。沓脱石に使われる紅い鞍馬石は実は真っ白な石なのですが、石が持つ酸性のせいで、表面だけが紅く染まります。それが苔むしたお庭には欠かせない美しさになっているのですが、藤野さんの住んでおられる地域が過疎どころか廃村だなんて、怒りを通り越して呆れ果てています。琵琶湖に棲息していたイチモンジタナゴは、ブラックバスのせいで、現在琵琶湖には全くおりませんが、疎水を通って、京都市民の寄付のお陰で出来た平安神宮の裏手にある神泉苑には、イチモンジタナゴが終の棲家として立派に棲息しています。横道に逸れましたが、明治の時代に、首都が東京になって、次第に元気をなくした京都に、更に元気を取り戻してもらおうとして始まったのが一大プロジェクトである琵琶湖疎水の建設でしたね。丸五年掛かっているようですが、そのお陰で、蹴上発電所が出来、電車が走って再び京都には元気が戻って参りました。華やかな都のど真ん中にある文化遺産はすべて京北辺りや琵琶湖などの自然があったから出来たのであって、草生す田舎と中心とが有機的に結び付いてこそ本当の文化があるのだと思えてなりませんが。
     
     これからの私の半生は、そんなことに対する更なる挑戦であり、道草先生や藤野さんなど数多くのご友人さま方がおいでですから、何も不安はありません。今後益々妻とともに精進して参りたいと存じております。どうかご指導ご鞭撻のほどを心からお願い申し上げます!
     

  3. (Kazane) より:

    硯水亭さん、こんにちは。今日は朝から雨が続いていますね。先日のコメントの返答に、(相当僕が弱っています。ここらで元気を出さなければいけないのでしょうね。)なんていう言葉があったので、少しお疲れなのかな…と心配していました。退職の件などで、あれこれ大変な時期が続いていたのですね。
    無事退職がきまられたとのこと。今までお疲れ様でした!もちろん、これからも今まで同様お忙しい日々を送られるのでしょうが、大きな夢実現に向けてまた新たな一歩を踏み出すというのは大きな喜びでしょうね。遠くから、応援しています♪45歳で定年、素敵な制度ですね。特に硯水亭さんのように、今まで真剣に走り続けてきた方にとっては、そこで出した成果にひとつの区切りをつけ、さらに大きな夢に向かうには最適な年齢なのかもしれませんね。 ご主人様の口癖集、いいですね。優しさと誠実さと…。このような思いで仕事をされている方の下で働ける人は幸せですね。余談ですが、11番目のことば、私は奥さんではありませ~ん(^_^; なんて言いたくなってしまうくらいのことしています。上司(精神科の医師なのですが)は仕事ではわりと有名で、患者さんからもとても評判のいい方なのですが、自分のこととなると…。周りに頼りっぱなしだったりするので…(^_^; 6月末日といったら、もうすぐですね。奥様そして生まれてくるお子様と幸せなひとときを過ごす時間、大きな夢実現に向けて動く時間。ますます充実した日々が始まりそうですね☆こうしてブログで知り合った方が、素敵な人生を送られているというのは、私にとっても大きな励みになります♪私も私らしく、いい40代を送れるようがんばります(*^_^*)

  4. 文殊 より:

           風音さま
     
     主人と同様に、本当にお優しい風音さんです。同世代として、精神的にいつも傍に私もいます。だから頑張りましょうネッ。主人は自分にあまりにも厳しい方でした。シャイだったせいでもありますが、初対面の方とは殆どお話が出来ませんでした。特に優しかったのは女性に対してでありましたが、それがね、全く嫌味がなかったんですよ。レディ・ファーストを完全に貫いていました。私と同じようにマザコンだったせいでもありましょう。だから平気でお茶汲みなどさせようものなら、本気で怒りました。まじに一度管理部長の給料を減俸したことがあります。でも隠れて奥様には差額を渡していましたヨ。可笑しいでしょ!あはは!しかも奥様には経理担当者が間違ったんだと説明して自らが謝ったのです。但し私と奥様が逢ったなんて、絶対にご主人には内緒にして下さいねと。実際彼のお宅ではどうなったか、その後のことは一切聞いていませんが、全社中にその事が話題となって、主人は恐れられたものです。
     
     社員旅行で恒例のハワイ旅行の際などはまじに女性には親切でした。フィアンセがいたのですが、結局結婚することもなく、あの世に逝ってしまいました。更にもう一つ残念なことがあります。自らが決めて自らで、人生の半ばに区切りをつけ、後半生を誰憚ることなく生きることを楽しみにして櫻山を計画されたのですが、
    そうはならなかったんです。そこが私からすれば本当に悔しい限りです。あんなに楽しみにしていたのに、
    自分の櫻を御手植えすることがなかったのですから、淋しく哀しいのです。会長で君臨していながら、コピー
    一枚でも自分で作業していました。女子社員が見かねて、どうしてもさせて下さいというのが精一杯だった
    んですよ。女性が生き生きしていなければ、どんな平和も訪れないと。快活な女性を見ているのが大好きで、
    風音さんとも何処となく合いそうです。石田衣良さんの小説は素敵な恋愛ものが多くていらっしゃいますが、
    実際に彼となら、そんな気分になられたかもしれませんね。最も実際に行動に起こせる身分ではありません
    でしたが、もっと自由に何故してあげられなかったか後悔先に立たずの悔しい心境なのです。
     
     私はこのところリハビリやら、引継ぎのことやら、後任を選定することやら、今後のことやら、弟君さまとの関係やら、非常に忙しく、先日はヘトヘトでした。御免なさい、ご心配を掛けまして!先週末に行った湯河原の温泉治療センターでの歩行訓練は楽しかったです。初めて右足に体重を掛けて歩くことが出来たからです。水中でなら何とかなるのですが、やはりまだ通常では無理なようです。一度太い注射で膝の水抜きをしました。何度もしなければならないでしょう。それと潤滑油みたいなモノを装填するんだとか、先生が仰っていました。膝は厄介ですね。でも大丈夫!ボチボチ行きますから。このところ妻は上京することがないのですが、連日宅に電話しています。夜中と朝と。だから淋しくはありません。いずれ一緒に住めるのですから。京都での住居も決めなければいけません。赤ちゃんは楽しみですが、風音さんにどう申し上げていいやらといつも胸を痛めています。でもこうして風音さんが御歓び戴けるとなれば最高に嬉しいです。子供は国家の宝でしょう。まだ分かりませんが、
    男か女の子か、どちらになるか、7月に出て来るまで知らないようにしています。今日も有難う御座いました!
     
     

  5. より:

    硯水亭様は素晴らしいご主人様と仕事をされたのですね。羨ましいの言葉しかありませんね。口癖集を別ファイルに保存させていただきました。読んでいますと何かに吸い込まれていく感じがします。素晴らしいご主人はやはり素晴らしい後継者を見出す眼をおもちだったのですね。新しいステップへの門出おめでとうございます。そしてこれからのご活躍を楽しみにしています。我がブログで名前の件でコメントに触れていただきましたが、こんなにご鄭重おっしゃっていただき恐縮至極です。もっと気楽に扱っていただいてくださいませ。コメントにお書きの、ホソバシラガゴケ、って初めて知りました。我が尊敬する鉾杉塾の塾長が苔をいじっておられますので明日にでも聞いてみようっと。

  6. 良枝 より:

    こんばんわ。りんこです。
    もう1年も前になる頃でしょうか。
    仲のいい男性社員と一緒に
    「うちの会社にはいい男がいないって言うじゃない?
     いい女もいないじゃない。
     風通しも悪いってのは、
     そういうもんじゃないの?」
    なんて、笑って話していた頃がありました。
    見目のいい男、見目のいい女をさしているんじゃないんです。
    まぁ、随分と見下した冗談ではありますが 苦笑
    うそをつかない
    相手を陥れない
    思いやる。
    ご主人様は男性でらっしゃったから
    女性を思いやってのお言葉が多くてらっしゃいますが、
    女の私としてみたら、
    男性に対しての思いやりを持てる女性も素敵かと 笑
    それもわかっているはずなのに女性に対しての優しいお言葉が
    なんだかかわいらしく思えます。
    失礼でしょうか 笑
    私も人間が好きです。
     
     

  7. 文殊 より:

           Mfujinoさま
     
     どうも有難う御座います。早速今後使わせて戴きとう御座います。というのは、先生のご返事に書かせて戴いたように、有名庭園の樹木や苔や石など、殆どが京北から丹波、或いは花背が多いんです。ホソバシラガゴケですが、京北には名人がいらっしゃいます。竹村公三さんです。庭師や植木職人さんとのお付き合いが長い方です。鄙びの京北にはどれだけの恩恵にあずかっているかということがよくお分かりになられることでしょう。庭園は何も枯山水だけではありません。近代的庭園にも、寧ろ枯山水を排除したようなヒカリの溢れる和風の庭園が多いのです。そこには形而下学的(Physical Sciences)な思い切り良さがあるのです。モノを通して感性的なことを重要視することです。同じ精神文化なのですが、飽くまでも自然を中心とする有形文化と申しましょうか。反対には竜安寺のような形而上の庭園があげられるでしょうが、この近代的和風庭園は山縣有朋の無鄰菴などを御覧戴きますと、ひと目でお分かりになられるかと存じます。自然をそのまま空間に映し取るといった風情でしょうか。都市と鄙びが共に共存して行かなければならないのです。イサム・ノグチの庭園造りもそうなりましょうか。
     
     主人の口癖ですが、本来はボンボンですから、甘ったるいこともお感じになられるかと存じます。でも細かいんです。そしてとても厳しいのが根源にあります。当社は厳しい社員教育で成り立っていると言っても過言ではありません。本職はたかがビル賃貸業です。でも一等地にテナント・ビルらしい建物を特別しっかりしたのを建てて、他より圧倒的な安さでお貸し致します。当然それには賃貸までの、こちら側の選択権がありますから、どなたにもお貸しするのではありません。厳しい選択があります。従って一流の企業が挙って集められます。そうしてそこから又新しいビジネス・チャンスが生まれて参ります。インベスト部門は賃貸先から発想されて生まれて参りました。又他にも色々なことをやっておりますが、素晴らしい企業さまとのお付き合いの結果なのです。その辺が私どもの商売のコツでしょうか。そんなコツの根底に触れるこのがこうした口癖になって現れたのでしょう。各口癖には様々なことが秘められています。
     
     今日もおいで戴き有難う御座いました。どうか今後ともよろしくご指導下さりませ!
     

  8. 文殊 より:

          りんこさま
     そうそう、可愛らしい男性でした。甘えん坊でしたし、独身で孤独でした。通常経営陣はみな孤独だと思いますが、それを払拭するような努力をいっぱいしていたことになるでしょうか。バブルでも浮かれない、インフレでも動じない姿勢はとても難しいことなのです。そういう会社にするためには一朝一夕では出来ないことです。
     
     りんこさんの思い遣る女性も素敵だという御意見はもっともなお話です。そんな女性がいっぱいいらっしゃったら、どんなに素敵でしょうねぇ。
    熊井明子さんや田辺聖子さんやグランマ・モーゼスさんやターシャさんの
    ような懸命で、それでいてサラリとしていて、明るくお洒落で長生きをする
    素敵な年の重ね方は若い時からの修練らしいですね。りんこさんも
    そんな素敵な方になるでしょう!
     
     でも会社に変てこな競争原理を働かせれば自ずとケバケバしい雰囲気になるのではないかと思われます。そんな意味から申し上げたら、矛盾するかも知れませんが、当社は格別に厳しい社員教育で成り立っております。何故ならサーヴィス業の会社だからです。本来はどんな企業でもそうでしょうけど。自浄努力はさることながら、自己革新さえ求めます。多種多様な先生をお招きして、自分以外の自分に出会えるチャンスを多く作り、基本は個人の尊厳に立脚しています。
     
     テナント様から言わせたら、お宅の会社に1年いたら、他では5年いたことになるよとよく言われることがあります。殆ど一般公募で人材を確保しておりません。お金を扱う関係上、色んな形での推薦あるいは紹介が多いようです。又それで充分に足りています。それじゃまるで京都のお茶屋さんじゃないですかと言われると思います。一面から致しますと確かにそうかもしれません。一にも二にも『信用』を最優先しています。大阪のどこかの料亭じゃないのです。あれは又酷かったですねぇ。考えるだけでも、おぞましくなります。
     
     りんこさんは素敵な方です。繊細ですし、思い遣りも十二分にあります。その上創造性が豊かです。これから益々のご活躍を期待しています。頑張りましょう!エイエイオ~~~~~!!

  9. Unknown より:

    こんにちは♪先日はコアジサイのこと教えていただき、ありがとうございました。私が見たあのお花は確かにこのコアジサイでした。うふふ、大きな写真はやはりいいですね。
    硯水亭さんは、世界をも視野に入れて活躍されている仕事人なのですねぇ・・・こうして読ませていただくと改めて思いますが、普段は優しくてやんちゃで博物学博士でいらっしゃって、そのことをすっかり忘れているのです。それだけスケールの大きな方なのでしょう。もとからそのような資質をお持ちの上、ご主人の薫陶により、さらに成長されたのでしょうね。
    「故人の口癖集」を拝読し、大きなことから細やかなことまで何と心配りされているかと感心しました。風音さんも書いていらした11番目、何でもないようでも大切です。これが実行できる方は間違いなく全てのことにおいて優しいです。もっとも、そういう方には進んでお茶も淹れて差し上げたくなりますが(笑)
    あと一ヵ月ほどで一区切りですね。まだまだ色々とお忙しいかと思いますので、くれぐれもお身体を大切に。怪我のご回復と、奥様とおなかの赤ちゃんのご健康を心から祈っています。

  10. 文殊 より:

          夕ひばりさま
     お姉ちゃまのコアジサイの写真も素敵でしたよ。何をご謙遜を、うふふ!でも十何年前に富弘さんに訪れて見た時は大ショックでした。世の中にこんな花もあるんだぁってね!僕はちっこいう頃、主に渋谷にあったプラネタリウムで天体の勉強をしたのですが、夜の星を眺めるのが好きでしたから。それでこの花を、あああこの世の星なんだぁって思っちゃましたねぇ。艶やかな花はそれなりにいいんですが、こんな野の花の楚々とした美しさも実に潔いんですよね。今年は躑躅の中から首を出している背の高い春紫苑を、ビル管理のお掃除のおばちゃんから200本ほど戴いて来て、自宅の大壺に投げ込んで楽しみました。綺麗で、未だに全員元気いっぱいです。投げ込みの良さはね、その時実感したんです。海外に行くと生け花ではなくて、殆ど全部投げ込みなんですが、大切なのは薔薇もそうですが、同系色の色で投げ込むのが見栄えするように思います。そろそろどこからか枇杷の果実がなっているまんまの枇杷の樹をバッサリ切ってもらって戴いて来て投げ込みたいなぁ!たった一人でいても、自宅に帰るのがとっても楽しみになろうっていうもんです。
     
     博物博士だなんて、ご冗談でしょ?ダボハゼのように何でも興味津々なだけです。あはははは!明恵上人ではないんですが、夢までが興味の対象です。目的があって本を読んだこともないし、何でも知りたいし感動したいなぁと常に思っているだけです。冗談はヨシコちゃんにしましょう、あはははは!
     
     主人の口癖を面白がって戴いて、寧ろ感謝しているのはこちらです。何でも裏があるんですよ。11番目は、コーヒーでも煎茶でも取り合えず飲めるように、どこのセクションにもちゃんとそれなりの機械が入っているんですヨ。これは何故厳しいかというと、横着は百代の仇なりと主人は真剣に考えていましたから、それを全員に戒めるためによく言っていたことです。上役になればなるほど、部下には率先して何事もやりなさいというわけです。ビルを貸し出して、汗もかかずにお金が入るなんてあり得ないということなんです。ノホホンと賃貸業するだけなら、社員は二十名で充分足りるだろうとも。普段海外に出たりしていましたから、常日頃から社内には習慣づけたかったからなんでしょうね。でも女性には特に優しかったことには間違いはありませんでした。モテモテだったんですが、一切そういうことにはなりませんでした。フィアンセがいたからでもありますが、何事も自ら襟を正す癖がありましたし、どこか品がありましたから。だから大雪の朝なんてね、会社に一番最初に来て雪かきしてました。どんな年上でも男性社員には物事をはっきりというし容赦なかったんです。秘書課にはお茶汲み専門の女性がいます。ちゃんと京都で煎茶の修行やコーヒー・ショップなどで修行をさせておりましたんです。何事も誇りを持ってやれるようにということもありますが、お客様がいらっしゃいますから、そのためでした。それとユニークなのは、会社に出て来なくていいから、毎週報告書をあげなさいという「ぶらぶら社員制度(社員二名)」です。これはヨーカ堂グループの鈴木社長とのお付き合いの中から生まれた「受け売り制度」なのですが、常にお客様のニーズを調べるのが目的でした。小売業は全くしてないにも拘らずです。いいビルがあったら徹底して調査するとか、世間の動向がこうだから、こんな風に社会情勢は変化して行くだろうとか、そんな報告制です。ちなみに現在の弟君さまも、主人のいう通り実践していらっしゃいます。だから初夏とか初秋など、自然風が入るようなビルに設計しているんです。勿論エコもね、徹底して。
     
     来月は滅茶苦茶忙しくなりそうです。赤ちゃんとのご対面も後一ヵ月後ですね。楽しみだなぁ、どっちに似るのかなぁ。どう可愛がったらいいんだろうかなぁ。ドキドクワクワクで、ひたすら妻に感謝です。リハビリに仕事に読書に設計図書などの整理に、それとブログ(ぷぷぷ!)に全力で頑張りたいです。今日もおいで戴き、本当に有難う御座いました!
     
     

  11. 文殊 より:

           道草先生
     
     済みません、間違いがありましたので、一つだけ訂正申し上げます。
    鞍馬石の紅い理由を「酸性」だからと書きましたが、「鉄分」の間違いでした。
    アホやねぇ、済みませんでした!ペコリ!!!
     
     

  12. ただ今カフェで読書中 より:

    硯水亭様
     
    こんばんは。
    コアジサイの写真、まるでそこに宇宙が広がっているような感じがします。
    そしてそして、ご主人様の口癖、ひとつひとつ、なるほど・・・と思いつつ拝読したしました。プリントアウトして貼っておこうと思います。
    船場吉兆の経営者の方々に見せたいですね。
     
    でも、あと一ヶ月ですか。楽しみですね。
    お忙しい日々だとお察しします。でも、先々に次から次へと喜びが待ち受けていて、ますます充実した時間、日々ですね☆
     
     

  13. 文殊 より:

                        Hayakawaさま
     コアジサイはなかなかいいでしょう。この花は花びらがつきません。実は中のポチポチが花なんですが、アジサイとは趣きが違います。普通のアジサイはアジサイ科アジサイ属ですが、この花はユキノシタ科のアジサイ属になります。やはりHayakawaさんも宇宙にお見えになりますか。僕も本当にそう思えます。星々がキラキラと宇宙の果てまで続いているように思われます。可愛いですよ、意外に小さいんです。
     
     主人の口癖は彼が生前いつも話していたことで、中には机には私物を入れるなという変てこなのも感じられるでしょうけれど、実は各セクションで専門分野がそれぞれにありますから、出張や休暇などで困ることがあるんです。そんな時のために、私物は一切鍵を掛けられるロッカー以外は厳禁にしていたんです。本当は一つ一つ解説をしておげばよかったのですが、スラッ~~っと書いちゃいました。船場吉兆さんには悪いけど、もう手遅れですネ。信用は一瞬にしてパァ~~になります。信用つくまでがどんなに大変なことか、先代には悪いのですが、もう船場さんには縁がなくなりました。せめて湯木さんの味を味わいたい時には嵐山の京都吉兆に致しましょう。他にもいっぱいありますしね。
     
     そうなんです。残された日々はあと一ヶ月になりました。この間あれやこれやで、テンヤワンヤの引継ぎやら顧客さんにご挨拶やら、多分ゆっくりブログを書けないかもしれませんが、偶々書けない時だってお邪魔虫になると思いますので、よろしくお願い致します。元気を戴きにあがりたいですのです。
     
     又今般は当社のが無理を言っているようで済みません。重ね重ね有難う御座いました!お休みなさい!
     

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