暑中お見舞いもうしあげます!

 

  コロー

 コローの最高傑作 「モルトフォンテーヌの想い出」

 

 

 

            暑中お見舞いもうしあげます!

 

 

 皆さま、どこもかしこも暑い盛りになりまして、心から暑中お見舞いもうしあげます。梅雨もあけ、愈々夏真っ盛りとあいなりましたが、皆さまにはお変わりもありませず、お元気のこととご拝察もうしあげます。私たち家族三人は若狭・高浜より、京都の妻の実家に帰って直ぐ、東京の私の自宅に帰ってまいりました。赤ん坊一人の引越しは存外大変でしたが、ほどよいクーラーの中で娘は心地よく眠ったり、力いっぱい泣いたりして元気いっぱいです。一ヶ月検診も無事終了し順調に生育しているようで、嬉しくてなりません。妻は赤ちゃんの面倒をみたり、相変わらず勉強したりで、大忙しの状態です。新米パパの私は家事をしたりしていてもちっとはオロオロしなくなり、少しは生活の中で落ち着きを取り戻してきているでしょうか。私は今週から再び会社に出て、様々なことをしています。財団の仕事中心になりましたが、別棟のオフィスに移って心機一転、チームのみんなと元気いっぱいです。

 ところで皆さまは上野西洋国立美術館で現在開催中の「コロー展」を御覧になられましたでしょうか。既にテレビ等でご承知の方が多かろうとご推察もうしあげますが、世界40箇所から集められた今回のコロー展は想像を絶する規模で行われています。初期の頃のイタリア留学時代の絵から、最晩年の「青い服の婦人」まで120点ほどになりましょうか。巻頭の絵はコローの最高傑作「モルトフォンテーヌの想い出」です。140年も前に描かれたとは到底思えない新鮮な筆致と色彩で、ひと際輝いてありました。写実主義・バルビゾン派に属していたものの孤高の画家で、連日森の中に入りっ放しで、キャンバスを立て風景を描き続け、独身のまま79歳で逝った人でした。会場の中に入ると間もなく感じられる空気は穏やかそのものの空気で、まるで森の小道を歩いているような錯覚さえ覚え、コローが見詰めたその眼差しを思う時、思わずググッとくる熱いものを感じるほど、優しさで満ち溢れています。小枝の先々まで神経が行き届き、森の中の小さな花々を愛し慈しみ、人柄が充分伝わってまいります。銀灰色(ぎんかいしょく)と言われるくすんだような暈かされた比較的暗い絵は、どの絵にも描かれた空や雲の色彩は殆ど同じ色がないのです。朝は朝の銀灰色、夕方は夕方の銀灰色にまず驚きました。ゴッホのアルル時代のような明るい光が少ないのですが、逆に不思議と豊饒な光を感じ、どの絵もうっとりとして眺めていました。更に私が一番驚いたのは当たり前なことですが、どの絵にも描かれている彼のサインです。通常は模倣出来ないようにカックいいサインのがよく見かけられるのですけれど、彼のサインはひと味違っています。実直で素朴な人柄を表現しているような印象深いサインでした。モネやセザンヌたち多くの画家たちから尊敬され、彼らに大きな影響を与えたと梗概に書かれており、実際に彼らの素敵な絵も飾ってありましたが、印象派の諸氏に影響与えたばかりではなく、フランス国民や世界の人からも心から愛された画家であり、このサインの印象通りの方だったのではないでしょうか。

 

コローのサイン

 Corot(コロー)のサイン 殆ど変らずこんな素朴な感じのサインでした

 

 彼はパリの裕福な織物商の長男として生まれ、跡継ぎをさせたい両親から最初は反対されていましたが、やむにやまれぬ画家になる思いをようやくやっとで許しを得て、絵を描く切っ掛けだったのは、両親からの注文だった彼自身の自画像でした。両親から財政的約束をされイタリアに旅立ち、そこで多くの建築物中心の風景画を描くのですが、僅かな期間(三年?)フランスに戻ってまいります。そこで、それまで風景画は神話や宗教絵画の補助的背景でしかなかったのを、最も大切な中心のモティーフにした最初の人ではなかったでしょうか。朝から晩まで森の中に籠もり飽きることなく自然の造形や光や自然の中の魂を描き続けました。私は割合初期の頃に描かれた小さな小品の「ヴィル=ダヴレーのあずまや」が結構気に入りましたが、何とまぁ、豊かな詩情が溢れているではありませんか。

 

コロー

 「ヴィルダヴレーのあずまや」

 

 私はここで美術評論をするつもりはありません。コロー展はこの後関西地方の神戸に巡回され引き続き開催されるようですが、こんな暑い日本の夏を、コローの詩情溢れる涼やかな風景画の中で思い切り涼んでみては如何でしょう。この記事はそんな意図だけで書かせて戴きました。そしてコローは風景画ばかりではなく、晩年になってアトリエで多くの人物画が描いています。コロー展のメーン・ポスターになっている「真珠の女」はあのレオナルド・ダ・ヴィンチの「モナリザ」のポーズをそのまま模して描かれていました。でもそこの背景には風景画が全く描かれてありません。何故そうなんだろうと勝手に想像してみました。多分コローは付け足しで風景画は描けないのだとモナリザに対抗して主張しているように感じられてなりません。79歳で亡くなるまで、この絵には加筆をすることが多く、生涯売らなかったし手放さなかったと言われています。それ故でしょうか、この絵には超越的な美が潜んでいるようでなりません。コローの「モナリザ」とも言われる由縁なのでしょう。それとコローが亡くなる一年前に描かれた「青い服の婦人」も美しく花を添えています。滅多にない素晴らしい企画展です。皆さま、ご機会がありましたら、是非コロー展へおみ足を運ばれて下さりませ!

 

コロー展

  コロー展 カタログの表紙より 「真珠の女」

 

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暑中お見舞いもうしあげます! への6件のフィードバック

  1. 道草 より:

    中学2年生の時の絵画部で、市内から赴任して来た図画の顧問の先生が、「丹波の霧はコローの絵の世界みたいや」と言いながら、画集を見せてくださったことがありました。その時私は「そんなもんか」、と大した興味示さなかったのですが、同級生のS君は熱心に見ていました。彼は勉強も良く出来た上に、図画の腕も全校一でした。その夏休みに彼が写生した丹波高原の「白い橋の絵」は、ずっと学校の玄関に掲示されていました。彼は50歳で自殺したのですが、墓は北山杉の麓にあります。葬式の日から後は訪れたことはありませんので、霧の深い日に一度お参りしようと思います。今朝の温度計は、室内で既に32℃を示しています。せめて暫しの間、コローの絵で涼しい気分を味合うことにします。
    「夏の旅」   立原道造
     
    Ⅴ.墓地の方
    霧のふかい小径を よくひびく笑声が僕を誘つたはじめての林の奥に
    白樺の木のほとりで  ああ 僕のメエルェン!(梢は 風に飛ぶ雲の歌をうたつてゐる)
    薊の花の好きな子であつたが知らぬ間に僕の悲哀を育ててゐたみちみち秋草の花を折りながら帰るさ ひとりの哀しい墓に 憂ひの記念(かたみ)に僕らは 手にした花束を苔する石に飾つて行つた――

  2. (Kazane) より:

    おはようございます。今日は、杏ちゃんが東京での朝を初めて迎えた、記念すべき日ですね♪新米パパさん、幸せいっぱいの気持ちで目覚められたことでしょう。 今朝は存在感のある雲がいくつもポッカリ浮かんでいます。これから陽射しが強まり、今日も暑くなることでしょう。コローの涼しげな絵を見せていただき、爽やかな気持ちで1日を始めることができそうです!ありがとうございます♪

  3. 文殊 より:

           道草先生
     
     京都は連日の猛暑のようですね。三日前に京都を出た時も暑かったのですが、品川駅に家内と娘と義母と三人で降り立ちまして、降りるなりむっと来る暑さで参りました。エコ社会には悪いのですが、室内にいきなり空調設備全開にして、ようやく涼味を感じた次第でした。ビル全体に入っている空調ですが、半分以上は水冷にしてあるんですよ。まだ杏には京都の町屋は辛いのではないかと思えたのですが、そんなら京女にならしまへんえときつく言われてしまったのですが、こちらに来て義母も大変満足して先ほど帰りました。昼間三人の子供を育てた経験のある40歳手前の方(この近くの父の紹介)がお手伝いさんで来てもらっています。買い物や洗濯やお掃除などを小まめにしてくれて大変有難い恩寵を受けています。
     
     コローの絵を見に行ったのが開展されて直ぐの時でした。都立美術館で「赤毛のアン」のキルトの写真を撮った日でした。従って社員たちが途中から車椅子を引いてくれて、都立美術館と西洋美術館の両方に行くことが出来ました。今ごろコローだなんて、少々古いようですが、なかなかどうして実際に観た感想は観る前の先入観とは明らかに違っていました。昨日塗りたてのような新鮮な絵具の輝きと驚くほどの構図や色彩があって、やはり印象派やセザンヌや、又近年でもその絵の要素が多くの影響を与え続けているようです。多分今後ないような大規模なコロー展でした。
     
     先生が御覧になられた頃にコローの絵をお好きな方は余程の通であったのでしょうね。素晴らしいものですね。ましてそれを大好きだったクラスのご友人が僅か50歳で自決し他界されるとは!先生にとってはお辛い思いをさせてしまいましたね。コローのどんなところに引かれたのでしょう。僕もあの世に逝ったなら、先生も交えて一献交わしながらコロー観のお話でもしたいものですね。そんなお盆の頃を思い起こさせるような立原道造の美しい詩は彼への鎮魂の思いがあったのでしょうか。
     

  4. 文殊 より:

            風音さま
     
     いいえ、昨日の朝が初めての東京の朝でした。その前日に少々早いのですが、一ヶ月検診に行って参りまして、無事良好で安心致しました。又京都の先生から、東京の聖路加病院のほうに紹介状を書いて戴いたのです。聖路加病院は僕にとっても馴染みの病院ですが、やはり今後も京都でもお世話になりますし、何かあった時はその先生からご紹介状があればと、その両方の病院に対し、通信手段を確保していれば安心だと判断した次第でした。
     
     そうそうそう言えば夕べ何気なく二人で食事をしながらテレビを観ていたのですが、「杏」と書いてアンと読ませるタレントさんがおりました。今やハリウッド俳優とでも言うのでしょうか。ラストサムライの渡辺謙さんのお嬢様が「杏(アン)」と呼ばれているようです。多分たくさんいらっしゃるのでしょうね。でもその子は家内に似て背が高くファションモデル兼女優だそうです。素敵な方でしたよ、中国の悲運の女性を特集していた(4チャンネル)のに出ていました。←親馬鹿チャンリン!
     
     連日ゲンナリする暑さですね。会社にお出になられる忙しいお時間に恐縮でした。どうか暑さに負けないように頑張られて下さりませ!今日も有難う御座いました!
     

  5. Unknown より:

    こんばんは。先日、上野に行きましたが、西洋美術館のコロー展には後ろ髪引かれる思いでした。
    暑中お見舞いにぴったりのコローの作品ですね !特に上の2枚は好きな絵で嬉しいです。「モルトフォンテーヌの想い出」に は懐かしい思い出があります。本物ではなく複製画なのですけれど。中学校の美術室の横にはちょっとしたスペースがありました。何という目的の無いゆとりの空間というのでしょうか。そこの広い壁に、この複製画が飾ってあったのです。ちゃんと額装されていました。その当時は特に意識して観たことも無かったような気がするのですが・・・中学時代のことを思い出す時、この絵が浮かんできます。もともと懐かしさを感じさせる絵なのに、私にとっては、この絵そのものが懐かしい思い出なのです。
    それから「ヴィルダヴレーのあずまや」はコローの絵の中でも最も好きなもののひとつ。村内美術館で観たと思うのですが・・・初めて観た時から、ここに住んでいたような、とても懐かしい気持ちになりました。そして、木々の間の道を散歩する時、この絵のことを思い出すことも・・・。
     
    今日も暑い一日でしたが、ご家族の皆様はきっと元気でお過ごしでしょう。長女が生まれた夏もとびきり暑い夏でしたっけ。先ほどから涼しい風がやっと入ってきて・・・たまには懐かしさに浸るのもいいものですね♪

  6. 文殊 より:

             夕ひばりさま
     
     御免なさい、遅くなりまして!少々忙しくしていまして、新米パパ奮戦中です。ぷぷ!
     
     お姉ちゃまからしたら、そうだったでしょうね。僕はコローの絵はあまり古典的な気がして実はそれほど興味がなかったのですが、先日赤毛のアンのキルトが展示されているという友人の勧めで、都立美術館に行ったのですが、コローには済まないのですけれど、ついでに観てしまいました。先入観とはやっぱりいけないものだと改めて考えさせられました。実は本当に感動してしまったのです。コローの視点の優しさというのでしょうか、すっかり魅了されてしまいました。数の多さにもびっくり致しました。共のものから車椅子をひかれ観たのですが、車椅子ですと、案外観客の方々も時折譲って戴いて感謝感激でした。
     
     「モルトフォンテーヌの想い出」には、そんな話題があったのですか。う~~ん、それを掲げた学校関係者さまに、痛く感動します。ホントはこうした写真や複製より、実際の絵が遥かにいいんですよ。たくさん素敵な絵があったのですが、この絵はひと際異彩を放っていました。コローは解説書によると、風景画を実際の現場で描くほうが多いんらしいのですが、この絵は現場とはいささか違っているようです。アトリエで、コロー自身の印象を凝縮したのでしょうね。だからとても印象的でした。ミューズの裸体の絵も素晴らしいです。
     
     ヴィルダヴレーはコローの実家があったところなので、一番多いかも知れませんね。イタリア留学の時に描かれた誠実で実直な人柄を充分うかがわせる素敵な建造物の絵も多かったです。パリで最も人気が高かったらしいのですが、幾ら模倣しようにも銀灰色の物真似は出来ないようで単にグレーと言っても様々なグレーがあって、驚きの連続でした。朝昼晩とそれぞれ灰色でも混ぜる色彩が違っていたのでしょう。本文にも書きましたが、コローのサインは大好きです。本人の人柄をそのまま表現しているのでしょうね。木漏れ日の絵はやっぱり一番素敵かなぁ。会場全体が優しい雰囲気が漂ったのは、コローの人柄そのものを表現しているのでしょう。観客の皆さんもみな優しい気分に浸っているようで、とても気持ちよかったんです。まじに!
     
     ご長女さんのお誕生も暑い夏でしたか。暑い最中に一ヶ月検診と初宮参りを京都で済ませました。僕の父や叔母はいなかったのですが、京都では男子より 早くお宮参りしたほうが早くお嫁に行けると言われており、ちと複雑な感想がありましたが、産土さまとして僕たちが再度の結婚の形をとりました
    下鴨神社さんにお参りしてまいりました。わら天神さまにも安産のお礼参りをして参りました。お陰さまで
    スクスクと成長しているようです。お百日祝いのお食い初めははてどこでどうなりますでしょうか。でも楽しみです。
    妻が夏休みに僕と杏と三人だけで一緒にいたいと熱望致しましたので、内心シメシメと思いつつ、強奪するかのように
    妻の実家から東京の自宅へ連れ帰った次第です。義父母はとてもガックリしていましたが、妻は強かったぁ!あはははは!逆に今度は杏が京都に帰るときは僕が淋しくなるのでしょう。でも杏のいるところがいいです。そうそう、杏と書いてアンと呼ばせる方がおりました。渡辺謙さんのお嬢様で、モデルや女優をやっている方でした。結構いらっしゃるのかも知れませんね。アン会でも開いてくれたら面白そう!
     
     今日もおいで戴き有難う御座いました!
     

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