父の「劔岳 点の記」

 

ビオウヤナギ

 

 

 

 父の「劔岳 点の記」

 

 

 

 先ほど、父から静かな電話があった。

手っきり明日からの旅行の件かと思ったが、 映画『劔岳  点の記』を観て来たというものだった。

「観て来たぞ」と言ったっきり、電話の先で物音がしない。「どうだったの」と聞いても、しばらく返事がない。

どうしたんだろうとそのまま待っていると、無口な父らしく、しばらくしてからボソボソと話し始めた。

「私は、58歳の時、厳冬の劔岳に岳友と二人で登ったんだよ。初めて滑落を経験した冬山だったんだ。どうせと、

家に帰っても誰もいない、だから一瞬岳友とそのままかなぁとさえ・・・・(ボソボソ)。映画の詳細は日記に書いておく。

当時、君はM家にいづっぱりで、殆ど帰って来なかったからな、嫌々これは愚痴ではないんだ、じゃ明日な」と、それで電話は切れた。

そう言えばそうだ、父が百名山の踏破を狙って、日本山岳会の岳友と、山々を登っていたことも、永い間僕は知らなかった。

僕はその映画の感想を聞きたかったが、明日から数日は一緒に居る。その時聴けたら聴こう、そう飲み込んだ。

ただブツ切りの沈黙がヤケに気になった。何なんだろう。多分実家に父の実妹が出戻りして来る前だったか。

父は、よほど孤独だったに相違ない。映画は、仕事に全傾注している方々にきっと素晴らしい映画なのだろう。

目的を持って生きることは多くの場合、孤独なのかも知れない。母が死に、ずっと独り身を守って来た父を責めたりもした。

何という浅はかで愚かな息子だったのだろう。明日から数日間は一緒に居る。

想像するに、恐らく先ほど話した以上、映画については、モノを言わないだろう、だから電話だったのか。

過ぎし日、父を、散々放っておいた罰を受けなければならない。改めて父の孤独さを、強かに思い知った。

明日初孫の満一歳の誕生を記念して、夕刻我が家に着いた京都の義父母とともに、全員7人で行く。

山形サクランボ狩りと米沢行きだ、取り返せるうちに、何かを取り返そうと、密かに思い至っている。

 

僕も、あの映画を必ず観ようと思う、木村大作という希代の名カメラマンは、どんな監督ぶりなのだろうか。

映画梗概を見ると、近年稀に見る豪華な芸達者が揃っている。父はきっと大いに泣けたのだろう。

 

(今度のミニ旅行にパソコンを持って出ません。従って数日間は更新致しませんし、皆様のところもお邪魔出来ないでしょう!ペコリ!)

 

小道の奥へ   梔子の花   柘榴

梅雨の合間に咲く花々 ドクダミ 泰山木 梔子 枳殻 何だか白い花が目立つ 「朝顔市」の母の命日が近いせいだろうか

 

 

 今宵のBGMは 平原綾香さんの「Jupiter」

 

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