茄子の花と二の丑の日

 

 

 茄子の花が咲いた 

 

 

 

                    茄子の花と二の丑の日

 

 プランターで、風に弱い茄子の花がパッと咲いた。一輪ずつ観ていて飽きない。嬉しいので、杏に見せたら、ただきょんとしているばかりだが、杏も、お花を観れて嬉しそう(そう思いたい)。野菜の花が大好きなのはどういうわけか。面白いことに、茄子なら、どんな茄子でもやはり同じような茄子の花が咲き、ゴーヤもトマトも隠元も野菜の花はみな同じような花が咲く。花容がしっかりとして咲くからだろうか。或いは豊穣な実りを予感させるのだろうか。樹に咲く花みたいに、キリリと咲くからだろう、その魅力、不思議と思う。どの野菜の花にも、どこか凛としたパワーがあって、いつも煌いているようで堪らない。

 妻はたくさん借りてきた書籍の山で間に合うらしく、外に出ることはない。それでも大きなお腹をもてあますわけではなく、時には部屋の中で、ルームランナーで大汗をかいたり、ぬるいお風呂に浸かり読書しながら長風呂などをして楽しんでいる。己の役目に徹している風だ。杏は、京都にいる時、「癇の虫」の虫封じを既にしてきてもらっているせいか、酷くヒステリックに泣くことはまずない。泣いていても何故なのか、運動のために泣いてたほうがいいのか、でももうそんな段階ではなさそうで、どんな仕草をしてもどうにか分かりたいていは当たる。オムツはまだ取れないので、モコモコとして歩く姿が愛しい。妻のお腹に中にいた頃から手なずけられたのだろう、殆ど世話の掛からない子で助かっている。僕も、時々出るオフィス以外、買い物だけの外出で、最近天候不順のせいか、せっかく公園デビューをしている僕と杏なのに、杏の散歩も思いのままにいっていない。妻は普段でもルーティーン通り勉強している。多分何処か偏っているのかも知れないのだが、この人はよっぽど学問が好きらしい。僕もつられて、杏が昼寝している時、神田古書街の慶文堂で購入した「群書類従」など多数、妻の真似をして読み、主に中世から近代まで勉強したいものだと念願している。妻は専ら中世から古代までが専攻で、特に書誌学を中心にした歴史学である。資料の上からいって限界がありそうな世界ではないかと内々思っているが、妻は何食わぬ顔をして文机に専ら向かっている姿が、ノロケではないが何とも美しい。僕は、柳田民俗学を背景とした歴史学をと勝手に決め込んでいるが、困ったことに民俗学の資料は飽くまでも現代のものとして扱うしかなく、伝承が、たとえ鎌倉時代だと主張されても、民俗にある古い資料が偶々今に伝わったものに過ぎないことであるし、どの民俗も現代のモノとして考えるしかない。歴史学と民俗学は根本から違うことに、時には困ることがあると、食事しながら妻にこぼしてみる場面があるが、妻は実証主義だけだと発想が枯渇するから、僅かな手掛かりで、考証しようとする想像の世界は大切であり、あまり余分なことを考えないで、あなたのイマジネーションを大事にコツコツと勉強してほしいとヤンワリ慰められる。ウチには民俗学的発想が必要やわぁとも。

 親子三人、いやそのプラス半分。家族全員が元気でいるだけでとても幸せに思う。もう直ぐ親子四人となる。僕は、どんなに恵まれていることだろうかと、亡き多くの人を含め、たくさんの方々に心から感謝する日々である。明日文月の最後の日は京都・愛宕山の千日御詣りや大阪住吉さんの御祭や宇佐神宮の夏越祭などがあるが、今年は珍しく土用の丑の日が二度ある年、明日は二の丑の日となっている。前回19日、松尾大社御田祭の日に、最初の土用の丑の日であった。銀座の鰻屋から出前を取って戴いたので、幾ら二の丑の日といっても、鰻を戴く気にはなれず、夏野菜中心のメニューのリシピを妻に見せたら、嬉しいと叫んで身体ごと歓びを表現されてしまったので、これを作るしかない。当家に取り憑く夏の悪霊祓いとして、夏メニュー満載で乗り超えたいものである。

 

      <オクラ納豆(オクラを納豆の替りとす)>

 材料;オクラ四本、胡瓜一本、茄子一個、オオバ四枚、茗荷一個 浅葱一本 それぞれを微塵切りにし合わせる オクラは徹底して粘りが出るまで切ってから混ぜ合わせる 更にそれに既製のダシ醤油を適宜かけて完成 稲庭饂飩の乾麺があったから それを茹でて氷で冷やし オクラ納豆をかけて戴く

 

      <九十九里漁師料理なめろう>

 材料;新鮮な大型イワシ二本 浅葱五本 茗荷二本 根生姜適宜 味噌小匙一杯(お好み) イワシを手開きし魚肉を包丁で叩いてから野菜を合わせる それから味噌を加えハンバーグ状にして 冷蔵庫で予め冷やしておく 無論野菜はすべて細かく微塵切りにしてから合わせる 生姜は絞り汁でもいいが その場合 少し水っぽくなる 真っ白いホッカホカ御飯の上に乗せ戴く

 

      <イワシの蒲焼き>

 材料;新鮮なイワシ二~三本 手開きし 天麩羅を揚げる要領で 少々の塩胡椒で下味をつけ 天麩羅粉を塗し かりっと揚げる 醤油2・味醂1・酒1・生姜汁(適宜)などで 煮詰めてタレを作り 出来たらアツアツのうち イワシをまぶしてから戴く タレの中に煮しめる方法もあるが カリッとした食感を楽しみたい

 

      <新玉葱の若狭餡かけ>

 材料:新玉葱三個 皮がついたままで 頭から十字に隠し包丁を入れ 大目の熱湯でそのまま煮る 煮あがったら 冷水に浸し冷やす その後皮を剥き ラップに包んで冷蔵庫の中で冷やしておく 餡は通常のお粥の餡づくりと同じで味付けしトロトロにするために吉野葛などを使う 但し餡の中に 干し椎茸を煮付けたものと人参や絹鞘を湯がいたものと 5ミリ角ぐらいの大きさにした賽の目状に同じく切り 餡の中に入れる 餡も又冷蔵庫で冷やしておく 一個ずつ盛り付けし 頭から 冷えた餡をかけて出す

 

      <ゴーヤサラダ>

 材料;ゴーヤ一本 極端に薄くスライスし 水にはなつ 水菜・胡瓜・人参・蔓紫(ひと煮たちし ダシ醤油につけておく)・サラダ菜などをミックスし シークァーサーで下味をつけておいてから 甘めの胡麻味噌ソースで戴く

 

      <杏用クレソンの冷スープ> ベニシアさんの「猫のしっぽ カエルの手 Vol,10 おもてなしの心」/7月5日放送分の料理リシピから

 材料;クレソン(150g) じゃが芋二個 りんご一個 バターとキャノーラ油で切ったじゃが芋を炒め チキンスープ(800ml)を入れ 沸騰させる それに切ったリンゴを加え 15分煮る その後クレソンを入れ 5分間煮る それをミキサーに掛け 塩・胡椒(適宜)し 生クリーム(70ml)で味を調え 冷やしてから戴く クレソンやハーブの花やフェンネルを飾りにする (僕たちの分量までたっぷりある)

 「森のイスキア」を主宰されている佐藤初音お婆ちゃんのオニギリの心で、食べてもらう人に、僕の心をちゃんと伝えたい。もっとも杏用のスープや離乳食はたっぷりメニューを抱えているが。

 

 

愛宕神社 千日詣パンフレットと護符

 

 当家は高い階上にあり、地上より遥かに涼しい。蚊や蝿もいない。いつも風が吹いている。よほどのことがない限り殆どクーラーを入れないが、食事や生活全般にわたって、この暑さをしのぎたいもので、寧ろ夏の暑さを楽しみたいと思う。例えば居間の絨毯の替りに、葦簀(よしず)を遮光だけではなく、敷物に使ってみたり、日当たりのいい場所にはすべて葦簀を張り巡らせたり、畳座布団を使ったり、そこらじゅうに団扇を置いていたり、天井の灯かりではなく、床置き式の明かりに切り替えたり、時には氷水で、顔や手足につけてみたりなど色々な工夫を試している。足湯ならぬ足氷か。妻がそれをやると、お腹の赤ちゃんが喜ぶらしく結構元気いっぱいに足蹴にされるらしい。妻は妻できっと耐えているものがあるのだろう。もう少し頑張ってくれと思う。ベトナムのアオザイを着てみたいというので、赤ちゃんが産まれたら、妻にご褒美としてオーダーメイドでアオザイを作ってあげる約束をしている。まぁそんなところで、暑くなければ夏の楽しみではなく、四季の楽しみも薄らぐことなのだろう。今日は又見事に晴れあがっていて心地いい。一点の雲もなし。

 ところでこんな久し振りに晴れた日に分かったことがある。ウチの近所の三田、龍源寺元住職・松原泰道師が、29日午後に御他界なされた。肺炎であったらしいが、101歳であれば大往生であろう。臨済禅宗であったが、宗派を問わず、分かりやすく佛の心を語ってくれたものだ。著作は実に100冊を超え、中でも最も馴染み深かったのは、「般若心経入門」で、僕も随分とお世話になった。ご冥福を心からお祈りしたい。

 親子で、こんな空間で工夫して楽しみながら生活しているが、年がら年中忙しかったこれまでの生き方を根本から変えるのは、実際にやってみれば意外に大変なことである。僕は、時々オフィスにも行くが、娘の面倒を見たり、お料理したり、洗濯したり、勝手に主夫している。これが忙しいことに慣れっ子になっている僕にとって、逆に心地よい楽しみを与えてくれているから愉快である。メーンの櫻に関する本の読破と古書古典の勉強と、更に櫻山が出来た場合に作りたい各施設の設計図書を描くことも大好きなことで、杏を足元に置いたりして設計台を目の前にすることだってある。自宅にいても、こうしてみると結構忙しい身だ。この夏は特に何処にも出掛けず、夏の終わりに生まれて来るであろう第二子の誕生を心待ちにし、徹底的に寄せ集って、美味しいモノを食べてここで踏ん張ろう。夏の終わりをウンと楽しみにして!

 

 今日のBGMは 森山直太郎さんの『夏の終わり』

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茄子の花と二の丑の日 への4件のフィードバック

  1. 道雄 より:

    京都の梅雨は未だ空けず朝から湿度の高い曇り空。そんな日の茄子の花の薄紫は爽やかでまさに一陣の風の如く慰めを送ってくれます。貴家にては誠に満ち足りた充実の此の頃。天使と天女に囲まれ、且つ、文字通り珠玉の玉への期待に溢れた豊かな毎日を何よりと存じます。尚且つ、事業の合間の学術への飽くなき親しみと、加えて、手料理の奥義まで極めておられる多才振りには、只、敬服の念あるのみです。我が家は比すべくも(比較するのが誤りですが、)比せずして秘すだけの日々、大方は無為に過ぎている状況にはあります。一昨日に、旦那の兄弟(横浜在)の結婚式に出席した次女が、2人で我が家を訪れました。父親の古里を見たいと申しますので、京北の宇津の里へ出向く予定をしております。昨夜に私も会員である施設に1泊してと計画したのですが、満員と断わられ本日の朝からふらりと出掛けます。代替に紹介してもらったペンションが他の観光地と遜色の無い料金(紹介者は高くないとの見解ですが)、更に交通費もバカにならず、自分の古里訪問に数万円も費やすのも空しく、質素暮らす彼らの信条を尊重して日帰りの散策と致します。久々の次女夫婦と山道を歩きながら、ゆっくり話す積もりです。行方定まらぬ彼らに航路灯に、点火して頂く話が持ち上がった時の悦び。私も親馬鹿丸出しで歓喜したものです。しかし、期待し期待し待ちに待ったものの、不測の事故により点火は叶いませんでした。点す側も点火を待つ側も双方の無念はさぞ遣る方なく、私自身も親としての無力さを痛感させられました。それ以来、次女夫婦に会うのは初めてです。ゆっくり越し方行く末を歓談(歓になれば嬉しいのですが)する積もりです。様々な人達との出会いと係わり合いの中に、人それぞれの人生があって、その総てが幸せであってほしいものです。見事な花と美事なご一家に幸ありますことを、切に願っております。「母は子を死ぬまで思ふ茄子の花」穐好須磨子。

  2. 文殊 より:

        道草先生 僕は大変な責任感を感じています。ご承知の通り、殆どすってんてんの状態で、亡き主人の分の出資金を出し、筆頭理事=理事長の座を獲得し、前の会社との縁を切りました。そのことがお二人にご迷惑を掛けている元凶ですが、三月来交渉が山場を迎えていた岐阜山中の交渉に成功し、財団の原資を使うことなく、利回りだけで購入出来ました。今も職員などの給料は、みなそこから出ているのですが、理事長たる僕の給料を抑えた結果可能でした。その頃時同じくして、財団には育英資金を考えるべきではないかと発案し、その結果が全員賛成に持ってゆくまで、恐らく10月半ばになろうかと存じます。又個人資産の中からも現在厳しく検討中であり、不動産担保にしない方法で捻出しようと努力をしている真っ最中です。最悪、月々のご送金になってしまうかも知れませんが、何とかその頃にはまとめてドンという形ではなく、月に最低1000ユーロをメドに頑張っている最中です。色々変化して申し訳ないのですが、これが現状精一杯のご返事です。まだ不確定部分が大きいのですけれど、どうしてもそこまで持って行きたいと考えています。個人から無理なら財団からの放出という具合にです。その場合財団に所属なって戴くか、そうして財団の施設を作った場合、施設の美術部門をご担当して戴くか、公的な財団の資金を導入する場合、そういう関係が基本条件となってまいります。僕個人のご送金であれば、全く交換条件はないことになりますが、後々影響が出ない方法を模索し、あちらこちらの関係機関に交渉中です。この時間が結構掛かっておりまして、何とも情けないのが現状です。でも一旦お約束申し上げた以上、必ず解決出来るものと奮闘していることには全く違いありませぬ。こんなこともご参考になされて、皆さんでご検討下されば幸甚です。いずれにせよ最長期間は10月末になるだろうと存じます。今までKさまに直接メール出来なかったのは、期間がまだはっきりした時期ではなく、今もいつからとまだはっきりしておりません、何分にも相手がある話ですから。先日の山形行きもすべて我が父から出して戴きました。今夏僕たちが自由に出かけられない事情も、思いもかけない借金をしてしまったことと、こうした交渉事があり、まして遊ぶ資金などなく難渋しているからであります。そんな諸々の諸事情があっても、何とか親子三人で楽しく頑張りたいという記事が今回の記事です。誰もがよくなるようにありたいもので、全身全霊をもって頑張りますので、今少しのご猶予を賜りたく心から御願い申し上げます。出金の時間がきっちりと分かり次第、直ぐ直行して早くお知らせ申し上げる予定でいます。どうぞよろしく御願い申し上げます。

  3. ヴィオレ より:

    硯水亭さま茄子の花、凛として美しいですね。おじいちゃんの畑で目にしていましたが、こんなにアップで鑑賞したのは初めてです。葉のような雰囲気もあり強そうで、茎の黒紫色もいい。真夏の生命力たっぷりな顔をしていますね。ヴィオレも夏野菜をせっせと食べて楽しんでいますよ。硯水亭さんはご家族揃ってとても贅沢な夏をお過ごしのようですね。そんな風に、おうちでお子様と奥様と毎日をじっくり味わっているお父さんもいらっしゃるんですねぇ。世のご家族からうらやましがられると思いますよ!お二人目がお生まれになってからも、そうやって過ごせると良いですね。

  4. 文殊 より:

          ヴィオレさま ご訪問、心から嬉しく思っています。茄子の花はね、薔薇で有名なあのマリーアントワネットが最も愛した花だったのですよ。アントワネットは茄子の花を胸飾りにしたものだから、もう大変!宮廷中の女官たちは挙って茄子の花をつけるようになりました。そこで薔薇の畑の直ぐ近くに茄子専用の栽培をしたくらいです。紫の色は色々挑戦しているのですが、なかなかぴたっと来る紫には出会えませんですね。一番難しいのはオオイヌフグリの薄紫の色だと思っていますが、色彩の研究という分野も面白いものですね。なべてお野菜の花は皆凛としています。まるで、貴女がたお二人の日頃の頑張りのようです。茄子野菜は特にパワフルで好きです。ちょっと手の持っていても元気が貰えそうです。 いやいや別に贅沢な時間ではないんですよ、ただ妻が今研究のほうで、絶好調なんです。本人は今のペースを崩したくないと強く懇願するものですから、皆で、家の中にいて、何とか楽しもうとしているだけです。京都の両親は淋しがっておりまして、今は多分ご夫婦で沖縄旅行をしている頃ですが、帰って来たら、多分予想ですけど、お二人で東京に来るのでしょう。妻のこと、可愛くて堪らないようです。末の、たった一人の女の子だからだと思われますが、妻は何とも思っていないらしく、人目から見たら、まさしく白洲正子に一直線と言ったところでしょう。主夫、これも楽しいもんです。二人の子になったら、どう変化するのか今から全く想像出来ません。でも一昨年の8月8日に戸籍を入れて結婚してから、もう二人目です。実はこれは妻のたつての希望なんです。確かに僕は老いさらばえてゆくことが早いので、そんな選択をしたのでしょう。大きなお腹を抱えて、文机を向かったままです。おいで戴き心から感謝申し上げます!

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