ベニシアさんのクリスマス 「猫のしっぽ カエルの手 Vol 24」より

  

 oohara simo   22   40

 

 

 

                     ベニシアさんのクリスマス

                       「猫のしっぽ カエルの手 Vol 24 」 (クリスマスがやってくる)より

 

 

 冬を迎えた京都・大原。朝霧が冷やされると、霜が大地に薄化粧を施す。ここに暮らして13年、ベニシアさんの庭も冬支度が整った。この時季ベニシアさんの日課は薪を運ぶこと。「朝早く起きて薪を運ぶ時辛いこともあるけど、空気がフレッシュで一発で目が醒めるって感じ」。キッチンに置かれたストーブに薪を入れると、炎が上がる。皆が起きてきた時、部屋中を温かくしておきたい。しっとりと落ち着いた築100年の古民家。12月になると、一層華やかに変身しはじめる。それはクリスマスがやってくるから。結構な重たさのある樅の木の鉢植えを、孫のキマちゃんやジョー君の手伝いを得て土間に入れる。クリスマスツリーの飾りつけをするのだ。ベニシアさんにとってクリスマスは家族や親しい友人と過ごす大切な時間。(ベニシアさんはクリスチャンではありませんので、信仰ではなく、大切な家族との時間として考えておられるのでしょう 信仰は毎朝される主にヨガから始まって禅などか)。クリスマスの準備は一ヶ月も掛かる。日本に来てからコツコツと集めたクリスマスグッズを孫たちと取り出すベニシアさん。ツリーのお飾りたち。大原の冬は厳しい。だからこの時季はクリスマスツリーで花を咲かせる。クリスマスツリーの習慣はドイツから始まったと言われている。昔は翌年の豊穣を願い、神に動物を捧げていたという話もある。ベニシアさんの飾りに動物が多いのは、この話を聞いていたから。孫たちと飾りつけの楽しい時間も、この際だからと英語を楽しく憶えてもらおうと、英会話をまじえ、賑やかにクリスマスの準備が進む。何気ない日常が、ベニシアさんの手に掛かればキラキラ輝く素敵な時間に変わって行く。

 

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      <Venetia’s Diary>

 「太陽が昇り、モミジの枝から日が差し込みます。暗く重苦しい空の下、庭に霜が降りました。太陽の日ざしが霜を解かし、ぬれた葉が輝いています。植物を夜の冷気から守る簡易温室も夕方には閉めなくてはいけない時期になりました。寒さに弱い植物はワラにくるんで、冬の間も温かくしてあげます。優しく世話をしてあげると、植物は次の春がきたときに感謝を示してくれるのです。ワラで囲った冬のオブジェ」

 

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 イギリスではこの時期、親戚や友人たちを呼んで頻繁にクリスマスティーを開く。ベニシアさんはアフタヌーンティーに欠かせないハーブサンドイッチを作ることにした。ハーブを入れてベニシア流にする。畑からフェンネルを摘み取る。このフェンネルは雪が積もっても大丈夫。雪の中からでも掘り出せるから、強い葉だという。鳥の羽のようなフェンネルはベニシアさんのお気に入りの友達。大好き。

 

      <Venetia’s Herb Recipe>   (クリスマスブレンドティーとハーブサンドイッチ)

 先ずパンにバターを塗る。日本人はオニギリが多いでしょうけど、イギリスでは毎日サンドイッチを食べますと。この綺麗なきゅうりは皮の所々をピューラーで取り、ひと塩を振る。2分ぐらいで塩が馴染んできたら、薄切りにしておく。チャービルは微塵切りにしておく。フェンネルは程よい大きさに手で千切っておく。バターを塗ったパンの上にきゅうりとチャービルを乗せはさむ。そしてもう一品はクリームチーズを塗ったパンの上にスモークサーモンとフェンネルを乗せはさむ。これってベニシアさんの大好物。最後にパンのミミを切り取り、三角形に切り揃えば出来上がり。次にベニシアさんのオリジナルなクリスマスブレンドティーを作る。美味しい紅茶を作るポイントは新鮮な水を使うこと。新鮮な水は水の中の酸素がお茶を美味しくさせてくれるから。今日はこの丸いガラスポットを使う。ポットはお湯を入れ予め温めておく。紅茶は中国産のキーマンティーは美味しいけど、ダージリンでもブレックファスト系の紅茶でも何でもいい。それに合わせるのは自分の庭で採れた薔薇の花びら。勿論ドライだ。更にドライのローズヒップ。その三種類。温めたポットのお湯を捨て、紅茶と薔薇の花びらは小さじ三杯ずつ。ローズヒップは少々少なめで二杯ぐらいにする。お湯本体のほうが沸騰しお湯がポコポコポコと踊る寸前がいいとベニシアさん。その一瞬を捉え、ポットの中に素早く流し入れる。美味しい紅茶は茶葉がポットで踊ってみえる。これは紅茶の美味しさがよく出ている証拠。3分~4分蒸らしながら待つ。これはクリスマスティーには欠かせないベニシアさんの定番ティーだ。

 

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  赤を基調としたテーブルセッティングが整った。クリスマスティーに招かれたのは、トールペインティング作家の山本裕子さん。かつてベニシアさんの英会話学校の看板をデザインし設置してくれた方だ。その後ベニシアさんから英会話を習ったこともある。「Do you take suger?」、「One please!」と英会話も弾む。ジョー君とキマちゃんも参加し、皆でクリスマスティーが始まる。そこにベニシアさんが奥から持ってきたのはこの二週間熟成させておいたフルーツケーキ。これはおめでとうのケーキで、日本では紅白餅にあたるかも。ベニシアさん曰く、このケーキを食べると幸せが訪れると。一年中ずっと幸運が続くように、薄切りにし、少しずつ時間をかけてゆっくりと頂く。裕子さん、プレゼントのお土産に持参したのはトールペインティングで出来た蝋燭立てで、美しい絵が描かれてあった。その出来映えに驚く孫たち。ベニシアさんも嬉しそう。そのお礼にキマちゃんとジョー君は即興の人形芝居を繰り広げた。気の合う仲間や家族と一緒に過ごす至福のひと時。孫たちが演じる人形芝居のお陰で一層楽しいクリスマスティーとなった。クリスマスティーの後で、憧れだったトールペインティングを教えて貰う。今日はいつも使っている茶筒に描くトールペインティングに挑戦!絵の具を筆いっぱいに含ませ、少しずつ好きな色も合わせ、画面に筆を立てて一気に描く。子供の頃からトールペインティングが大好きだったベニシアさん、日本ではなかなかその機会がなかった。嬉しそう、今セージを描こうと苦戦する。どうやら一気に描くものらしい。簡単に見えるけど、実際となったらなかなか難しい。一気に、これが基本らしい。トールはフランス語でブリキの意味。トールペイントはもともとヨーロッパ各地で、ブリキの小物など、身近なものに装飾を施すことから始まったもの。フォークアート(民芸)と呼ばれている。暮らしの中から生まれた芸術の一つ。冬の夜長、古民家は手作りの暖かさに満ちて来る。

 

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      <Venetia’s Friends>

  京都・一乗寺、ここに山本さんの自宅兼アトリエがある。山本さんは次の展覧会に出す作品を創作中だった。何でもないトレーが山本さんの手に掛かると大変身する。山本さんがトールペインティングの世界に入ったのは意外なものだった。20代で結婚。子育てや家事に勤しむ普通の主婦だった。32歳の時、突然多発性関節リュウマチの難病に侵されてしまう。殆ど寝たきりの状態で病魔と闘う日々。そんな或る日夫の明照さんが「この病気が治ったら、お前の好きなことをやれや」とひと言。そのひと言で、「寝たきりだったら、何も出来ないやん、この病気が治ったら何でも出来るんやて。私やりたいことがいっぱいあるやん」と発奮したそうである。そんな時、ふと雑誌で見たトールペインティングの記事が紹介されいた。夫の言葉を思い出し、あっこれやこれやっていう感じだったようだ。手芸や手編みも大好きで、色んなことをしてきたけど、あっこれは私のためにあったんだと確信する。病気を治してトールペイントを始めたいと思い始め、その後医師も驚くほどの回復力を見せてくれた。山本さんは早速教室に通い始めた。当時日本ではアメリカの技法が中心だった。けれど山本さんは色んな国々のトールペイントを学んだ。中でもオランダのトールペイントに心酔した山本さん。個人レッスンを受けにオランダまで出向き、当時日本では殆ど知られていなかった技法を習得、そしてアトリエを開いた。このアッセンデルフト技法は構図を決めたら、後は一気に描きあげて行くもの。2色以上の絵の具を含ませ、筆を当てる強弱でもって、色のグラデーションを調整しながら、ひと筆で一気に描いて行くのが特徴だ。筆の走らせ方一つで、色々な花を描き分けて行く山本さん。あっと言う間に鮮やかなブーケが出来上がった。スピーディーに仕上がるというのは先ずいいこと。それと色が豊富で、一つの作品にはかなりな色彩を使う。この華やかなお花が大好きと山本さん。ヨーロッパの香り漂う作品を創り出す。とは言え、京都生まれで京都育ちの山本さん。日本の伝統文化に浸かって育ってきた。シキタリの厳しい活け花を身につけた。だからこそ自由に描けるトールペインティングに憧れた。けれどもリアルな花の描写や立体的な構図など活け花で身につけたことがとても役に立っている。山本さんにとって無駄なことなど何一つなかった。山本さんは現在アトリエで教室を開き、トールペインティングを一人でも多くの人に知って貰おうと張り切っている。山本さんに生きる力を与えてくれたトールペインティング。これからも花を描きながら、幸せのお裾分けをして行きたいと言う。

 

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       <Venetia’s Essay>      (ユール)

 「文明社会の草創期、北半球の長い冬は寒くて暗いものでした。日一日と夜が長くなるこの時期、古代の人々はやがて太陽が永遠に消えてしまうだろうと恐れました。そこで冬至の時期になると、オークの幹で大きな火を焚いて、太陽への敬意を表しました。このお祭は『ユール』と呼ばれました。冬は機織や手芸に勤しむ季節でした。自然の景色を、家財道具や壁や窓に、色とりどりに描く人も現れました。暗くなると、人々は聖なる炎の周りに集い、身体を温めてくれるボリッジ(お粥)やトディ(酒にお湯や砂糖を入れた飲み物)を回すのでした。大原で毎年冬至が近づく度に、私はこの古代の伝統を思い出し、太陽に感謝するのです」

 すっかりクリスマスの準備が整った。サンタさんは今どこにいるのかなぁとベニシアさん。そこでキマちゃんとジョー君はサンタさんにお手紙を書く。メリークリスマス!幸せな家族の時間に、深く感謝を捧げる。

 

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    <ハーブサンドイッチ>

  材料(4人分); 食パン8枚 きゅうり2本 スモークサーモン4~6枚 バター・クリームチーズ適量 チャービル・フェンネル各小匙 1 塩少々

     ① きゅうりの皮を少し剥き 塩を振り2分少々置き 薄切りに切る

     ② バターを塗ったパンに きゅうりと微塵切りのチャービルを乗せはさむ

     ③ クリームチーズを塗ったパンに スモークサーモンとフェンネルを乗せはさむ

     ④ パンのミミを切り出来上がり

 

    <クリスマスブレンドティー>

  材料(6杯分); 紅茶小さじ3 薔薇の花(ドライ)小さじ3 ローズヒップ(ドライ)小さじ2

     ① 温めたティーポットに紅茶とドライハーブを入れる

     ② ティーポットに注ぐお湯は新鮮な水を使い 沸騰したら 直ぐにポットに入れる

     ③ 蓋をして 3分~4分茶葉をむらす

        ※ 材料に ハイビスカス(ドライ)を加えるとより鮮やかな赤色になる

 

 二ヶ月ぶりにベニシアさんの放送記事をアップ致しました。何とこの二ヶ月で10篇のVTRが貯まっていました。アップすることを決して諦めたわけではありません。でも時期的に、最も最近放送された「Vol 24 クリスマスがやってくる」を優先してアップすることと致しました。ビデオを一時止めたりメモ書きしたり、写真でも全部補正をしなければならず、一編30分の番組でも物凄いエネルギーが掛かります。ということは、NHKさまがどんなにご苦労されて番組を作っておられるかがよく理解出来ます。改めてNHKさまの番組の全スタッフに敬意を表したいと存じます。とともに、ベニシアさんご一家にとって、今年は大変に、お忙しかったことでしょう。ロケとひと言で申し上げても、どちらに取りましても大変な労力とご努力です。ベニシアさんご本人さまは勿論のこと、ご家族さまの梶山正さんや悠仁君へ、またお孫ちゃんたちや多くの素敵なご友人さま方へ、たくさんの感動を有難うと申し上げ、心から感謝を申し述べたいと存じます。来る年は今年以上に、どうぞ良いお年をお迎え下さることを心から念じ希望しています!だんだん!!(硯水亭主人)

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