各地のお雑煮と慈姑(くわい)

 

 

お雑煮 丸餅 清汁仕立 どこかを京風に仕立てました 

 

 

 

            各地のお雑煮と慈姑(くわい)

 

 

 四人がかりでお正月用の御節を作っていますが、漸く見通しが立ってきました。実家ではこれほどまでに来客があるとは思ってもいなかったことです。年明け早々二日には殆どの身内が集って参ります。特にその日、我が妻見たさの思いもあるのでしょう。今までで最も多く来るようです。時々面倒臭くなって、父は何度か冬山に逃れていたようですが、今年はどうしても逃げるわけには行かず、新年のご挨拶を受けるようにした模様です。ですから御節の量も半端ではなく、私は叔母とお手伝いさんの四人で適宜対応して頑張っている最中です。妻も、今日から三が日まではお勉強を休むようで、子供たちを妻に任せ、最後の追い込みをしたいと存じます。

 さて日本列島は南北に長い地形で、様々なその地方地方の伝統が未だに厳然として残っているのは正月のお雑煮ではないでしょうか。このブログの年末のご挨拶を兼ね、今日は各地のお雑煮について触れてみたいと存じます。お雑煮は隣の雑煮というぐらい家庭によってもそれぞれ味があり違っていて、大変興味深いものです。でもよくよくみると、丸餅か角餅か、清汁仕立か味噌仕立か単純に大別されそうです。代表的な各地のお雑煮を垣間見てみましょう。北の杜の都・仙台では、海側と山側では趣がやや違うようです。海側では大根・人参・牛蒡の千切り・筋子・牡蠣・笹蒲鉾・凍り豆腐・干し芋茎(ずいき)などが入って実沢山です。特に海側では焼いた鯊(はぜ)が出し汁の決めてになっているようです。一方山側では秋に採れたキノコの塩漬けが主流で、もどしてから使うようですが、これも実沢山で恐らく東北一豪華版ではないでしょうか。お椀を豪華な漆器で揃え、如何にも伊達風といった具合です。海・山とも角餅です。

 東京のお雑煮は至って簡潔です。江戸雑煮の主流は清汁仕立が本来です。焼いた角餅・鳥または鴨肉・小松菜(江戸の葛飾の小松川で採れた野菜で、地方によっては小松菜を鶯菜=うぐいすなと呼んでいるようです)だけです。鰹節と昆布で取った一番出汁の清汁で、あっさりとしています。この他もし入るとしたら、椎茸か蒲鉾の類で質素を旨とした江戸っ子の気風に合っているのでしょう。

 そこからするとまめまめしく働けるようにと、金沢では黒豆が必ず入ります。甘海老や結び昆布も乗せ、雪の中から春を待つ芹も入れます。出汁は鰹出汁と昆布出汁の清汁で、お餅は昆布出汁で茹でた切り餅です。但し加賀雑煮の中には、削り鰹をふんわりと乗せただけのシンプルなお雑煮もあります。加賀前田家の伝承なのでしょう。伊達とは違って虚飾を祓った美しいお雑煮です。

 京都のお雑煮は丸餅で白味噌仕立が主流です。妻が京都の人なので、関東風だけではなく、妻のために京風お雑煮も作ります。具は丸くむいた大きな頭芋(人の頭に立てるようにと)・小芋(子孫繁栄を願って)・若い茎大根(大地に根を這って生きるように)などをあしらいます。包丁を入れずに、すべての材料を丸く、角を立てずに扱います。濃い目の白味噌仕立にして、お餅は丸餅を別に茹でて入れます。そして食べる時に削り鰹をかけて頂くわけですが、お椀の中でチリチリと削り鰹が揺れる様は、如何にも京都ならではの雅さがあるのでしょう。

 福岡のお雑煮は博多雑煮と呼ばれ、出世魚の鰤(ぶり)を、暮れの二十七日、二十八日から塩で締めたものが主流に使われます。ここでもやや大振りの椀の中に、塩鰤の切り身・鶏肉・スルメ・カツオ菜・里芋・椎茸・蒲鉾などと一緒にさっと煮た清汁仕立で、丸餅です。出汁は焼きアゴ(飛び魚の小さいものの焼き干し)で取ります。海山の幸を一堂(一椀)に集めたような材料は、一人分ずつ一串に刺し、家族の人数分を揃えます。なかなか豪華なものですよ。

 この他、塩鮭やイクラをたっぷり使った北海道のお雑煮は地元ならではでありましょう。名古屋コーチンとモチ菜だけを使った尾張雑煮(名古屋)、長崎ではチャンポン同様、具は鰤・キンコ(干しナマコ)・蒲鉾・鶏肉・椎茸・慈姑(くわい)・唐人菜などの数を奇数にして使います。

 でも私にはどうも弱いのが讃岐地方(四国高松)のお雑煮で、餡入りの丸餅を入っています。甘い餡入り餅と野菜を、白味噌仕立の汁で頂きます。まぁ砂糖の本場である讃岐ですから、贅沢品と言われた時代でも、贅沢な砂糖をお正月ぐらいはと言う気概があったのでしょう、多分そうした習慣の名残ではないでしょうか。甘い丸餅を使うのは日本列島広しと言えども、この地方だけです。マジに甘いお雑煮なんです。お酒を好まれる方はどうしているのでしょうね。時々可笑しくなりますが、讃岐ではお正月の定番となっています。このようにざっと見渡しても列島の各地では様々な郷土色が濃いお雑煮が未だに作られ大切にされています。大晦日、京都・八坂神社のオケラ詣に行き、火縄を回して取って来た火で、当主が正月一番のお雑煮を作りますが、家内安全や蘇民将来などの願いが籠もった祈りのお雑煮だったのでしょう。こうした些細な伝統でも残して伝えて参りたいものです。

 ところで正月料理に欠かせないのが慈姑(くわい)ですが、これはオモダカ科の多年草で、平安朝時代、中国から伝来したものです。旬は十一月下旬から翌年三月までが採取時季でありますが、なかなか面白いお野菜なので一筆。地中に出来る塊茎が食用とされますが、古くから強請効果があると言われて珍重されてきたようです。塊茎が白いものと青いものがありますが、味は青系の慈姑が圧倒的にいいようです。薄味に含め煮にしたり、うま煮にしたり、キントンの材料にもなりますし、寄せ鍋に入れるのもいいです。生のまますりおろしたのを卵・小麦粉を合わせ団子に丸め、胡麻油で揚げたのはなかなかなもので好きです。又は薄切りにし塩水でアクを取り半日ぐらい風干しし、これをさっと揚げた慈姑煎餅はお酒のお供(アテ)には欠かせないものでしょう。一つの根っこに毎年十二子を生じるところから慈母が諸子にお乳を与えるようだとされているから「慈姑」の字が当てられています。慈姑の「姑」とは母のことであると物の本には書かれてあります。私たちは正月元旦の初詣は毎年、私たちの菩提寺に行ってから、母のいる青山墓地にお墓参りに行きます。無論多くの先祖の御霊もお参りします。考えてみますと、一年の中、お墓参りは春分の日前後・お盆・秋分の日の前後・お正月・母の誕生日・母の忌日と合計ざらっと数えても二十日間にも上るのに、地上にいる人間だけがノホホンとして楽しんでいいものでしょうか。墓と暮の字は、下に土と日がつくかつかないかの僅かな違いだけです。亡き人を思い、私たちは生かされていることに思いを致し感謝し、静かに祈りと鎮魂の心根を、晴れやかなお正月に持っていたいものです。

 私たち家族にとって、今年は激動の一年でした。手術から腰痛の治験やら、私の身体は永年激務の疲労で悲鳴をあげていましたが、長男誕生を契機に運気がアップし、総じて素晴らしい一年だったと思われます。財団の理事長になるために大変大きな借金も致しました。これも私に課せられた今後の仕事の試練の一部なのでしょう。甘んじて運命を受けることにしています。記紀・万葉の時代の高揚感と、「「坂の上の雲」の青春群像の高揚感が重なってみえます。愈々来年から頑張るべきで、政局でしかないデフレ政治が本格的に根本的理念の議論を追求してほしいと存じますし、少なくとも私たちは、それらの時代に匹敵するような高揚感をもって臨みたいと心から祈念しています。このブログでも色々とありましたが、どちらさまにも、今年以上に良いお年が巡り来まするよう心からお祈り申し上げます。尚明日の大晦日(おおつごもり)には「大祓いの儀」があり、各御寺では除夜の鐘が鳴り響くことでしょう。雪深い羽黒山では『出羽三山松例祭』が行われ、烈風吹き荒ぶ秋田の男鹿半島では恐ろしい『なまはげ』が出て来ることでしょう。素晴らしいお年越しを!そしてどうか良いお年を!

 

 

慈姑(くわい) どこか慈母観音菩薩の食べ物のよう

 

 

 (尚先日アップ致しました「杏とブーケと聖家族」の記事の一部は、伺った場所が私たちに特別に見せてくださったようで、ご紹介者さまから公表しないようにと、強いご指摘を受けましたので、直ちに削除致しました。他意はありませぬ。どうか悪しからずご了承下さりたく御願い申し上げます)

 

 

 各地のお雑煮・試作 ラストスパート 明日は手打ち蕎麦を残すのみにしたい

 

 

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 今日のBGMは 多夢さんの作曲で 『瞳を閉じて』

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