ベニシアのハーブ便り

 

 

「ベニシアのハーブ便り」 表紙写真から 夫君・梶山正さん撮影

 

 

 

                ベニシアのハーブ便り

 

 

 私は、毎朝ほぼ父の目覚める時間と同じ、朝5時に起き出します。父は盆栽や、朝トレに。私は先ず最初にすることがあります。ターシャのカレンダーにご挨拶します。その後写真篇とイラスト篇のターシャの日めくりへ必ず目を通してから、赤ん坊や杏や妻を起こさないようにそっと抜け出すんです。朝粥が出来るまで、小一時間ほど、大切な時間。毎朝のお粥さんにも変化をつけています。当然お子ちゃま用のご飯も作ります。厳格なルーティーンを守る妻が起き出して来るのは、「日めくり万葉」が始まる時間。それからゆっくりと、皆一同になってお食事をしっかり摂ります。こんなことをしていると、食の危機とは何ぞやと思いたくなって来ます。家族一緒に戴く習慣さえあれば何の問題も起きないのではと思います。朝だけは叔母やお手伝いさんがいても、私が必ず自分の手でしなくっちゃ気が済みません。お粥さんが出来る時間が、物凄く貴重なんですもの。さぁて今日はどうして「生きていて如何に丸儲け」をするかを考えたいんですから。(今月連日連載しているターシャの言葉の日めくりはイラスト篇から書いています 別個に写真篇の言葉の日めくりもあります)

 さて今月いっぱいはできるかどうか全く別にして、毎日更新することを目指して努力しています。そして最近もう一冊の本(ベニシアのハーブ便り)も、待ち時間で必ず目を通しています。そこでですが、「猫のしっぽ カエルの手」の更新は、今月だけは断念せざるを得ません。既に幾つも映像が貯まってしまいました。「Vol 15 移りゆく季節」、「Vol 16 秋の音楽会」、「Vol 17 長く大切に」、「Vol 18 やすらぎの秋」などの放送分は既に御座いますが、今週の日曜日には新しい放送として、「Vol 19 大地の恵み」の放映があるようです。ベニシアさんのお人柄と、夫君の梶山正さんに、すっかり魅せられて、バカバカしいほど丁寧に、各放送分を忠実に再現することにしていますが、何せこのところ毎日更新しています。そんな関係上、手間隙がかかる作業の「猫のしっぽ カエルの手」の一連の、シリーズの再現記事はすんなりと割り込むわけには行かなくなっています。ですから来月末過ぎて落ち着きましてから、是非とも引き続きベニシアさんの「猫のしっぽ カエルの手」をアップしたいと考えています。どうかご勘弁してくださりましね。

 いつも手許にベニシアさんの著書で、「ベニシアのハーブ便り」が御座いますが、皆さまはご購入され読まれましたでしょうか。編集に凄い集中力を持って創られた形跡で逸品です。そんな要素を存分に感じられる力作なのです。彼女の原点や、ハーブ料理は111点にも上り、しかも夫君で山岳写真家の梶山正さんの写真が、随所に効果的に散らばめられ、抜群の感性は素晴らしいの一語です。ついついうっとりしてしまいそうで、もし未だご購入されていらっしゃらない方でしたら、是非ご購入をお薦め申し上げたいと存じます。四季折々の美しい写真と、ハーブと、お料理などと、ベニシアさんの素敵な庭と、そして最も重要なのは彼女の心の遍歴が詳細に描かれたエッセイがあることです。何故あんなに素敵なお城を抜け出して、日本へ。しかも大原など田舎へ。疑問がいっぱいあるはずなのに、でもこの本には見事にその疑問への解答が書かれています。このご本は聡明で荘重で明るく美しく、そんなご本なんです。皆さまもきっと彼女の大ファンになられることでしょう。

 ベニシアさんはお母さんは結構やり手の方で、何度かご結婚をなされたようですが、お父さまは早くして亡くされました。そこで、こんな告白の文章があります。「父の庭」の部分です。

 「父は私が十三歳の時に亡くなりました。私が寄宿学校にいた時、その知らせを受けただけで、葬式に行くこともなく、墓がどこにあるのかも長い間知らされていませんでした。両親は私は三歳の時に離婚したので、私は父の実家を訪ねたことがなかったのです。

 ある日、ガーデン雑誌の中でトレバーノの庭という記事を見つけました。どこかで聞いたことがあるような名前・・・・・・・。読むと驚いたことに、そこは父の実家であることが分かりました。私はすぐ支度をし、父の墓参りのため旅に出ました。一九九九年の夏、イギリス西南部のコーンウォールにあるトレバーノの庭と父の墓があるというセント・ジャスト・ローズランド教会を訪ねました。

 トレバーノは一般公開されている有名な庭です。古いものの美しさを感じさせる落ち着いた七〇エーカーの広大な庭を歩きながら、父が過ごした少年時代を想いました。近くの海岸には教会があり、お墓のリストに父の名を見つけましたが、父の墓石を見つけることができません。牧師さんに尋ねると一〇年前に大きな嵐が来て、たくさんの墓が壊れたとのことでした。私は父の墓があったところに彼が好きだったワイルドローズとハニーサックルの花をそっと供えました。」(「ベニシアのハーブ便り」から引用 グッと来る部分が何ヵ所もあります)

 奔放でやり手だったお母さまは、ベニシアさんが一度帰国した折、家の仕事を手伝えとご説得なされたそうです。でもそれをふり切って、再び日本に帰ってきたベニシアさん。多分罵声を浴びさせられたのではないかと不図想像が浮かびますが、母親は、私なら日本なんかに絶対に行かないとつっぱり通し、結局一度も日本に来ることなく、残念ながらお母さまも今は亡き人になっておいでのようです。色々なエピソードが、爽やかに、でもどこか荘厳に書き綴られておりますが、今更ながらにベニシアさんの原点と、日々の生活への真剣な取り組みなどがぎっしり詰まっており、彼女の生きざまが見える想いがし、彼女が歩んで来られた重さも充分に感動的で、豊かな感想を持ちました。へたに和的でないほうがいいように思っています。そしてハーブに、お花に、日々の暮らしの一つ一つに、如何に大切であるかを学ばさせて戴いております。ぅうん、毎朝、今も真摯に学んでいます。再び「猫のしっぽ カエルの手」のシリーズのアップまで、是非この素敵なご本で楽しんで戴きたいと心から望みます。尚、夫君の梶山正さんの写真ではあらゆるものへ、そして何よりもベニシアさんに対して愛情がたっぷり注がれ溢れておいでのご様子、完全に魅了されると存じます。写真家、そして翻訳として夫君・梶山正も、共著として体裁が取られています。

 

 

 手づくりのラヴェンダーと蜂蜜のワックスで家具を磨く (梶山正さんの写真で 著作権も梶山正さんに属します)

 

 

 世界文化社出版の「ベニシアのハーブ便り」 表紙部分

 

 

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